2018年10月5日金曜日

D-Wave Launches Free 'Leap' Quantum Computing Service

D-Wave Systems, the contentious but scrappy maker of quantum annealing processors, has launched a cloud-based platform 

where developers can sign up for free and run problems on their quantum processor unit (QPU).

 

There's an in-depth set of demos, documentation, and an open-source Python SDK to look at."Leap is the latest addition to the quantum cloud -- services that virtualize quantum computing for almost anyone with a computer and a broadband connection to use," reports IEEE Spectrum. "Leap allows anyone to sign up, giving them one minute of time on a cloud-connected 2000Q each month. That might not sound like much, but a key advantage of quantum computing is to be able to solve in milliseconds problems like factoring large numbers, optimizing routes, or calculating molecular structures that could take traditional computers days or weeks." 

 

AIベースのマーケティングオートメーションでデータが不十分な企業でも勝てる——Appier CEOに聞く

 スタートアップの動向を調査・分析する米CB Insightsが「The AI 100」というレポートを発表している。ここにおいて、2000を超える企業の中から革新的なAI技術に取り組んでいる100社として2年連続で選出されているのが、台湾に本籍をおくAppier(エイピア)だ。同社は2018年6月には「NetworkWorld Asia(NWA) Information Management Awards 2018」において、APAC(アジア太平洋地域)のCIO(最高情報責任者)やCISO(最高セキュリティ責任者)およびIT/データセンター統括部長による投票で「最も有望なAIソリューション」を受賞するなど、ユーザー企業からの評価も高い。

 Appierは、AI(人工知能)をベースに企業の経営課題解決を支援するためのテクノロジーを提供する。同社は台北の本社と東京・大阪を含む14拠点でビジネスを展開し、APACでビジネスを拡大させ続けている。2017年8月には3回目となる資金調達を実現。ソフトバンクグループ、LINE、NAVERなどから、3300万ドルの出資を受けた。

 現在のAppierの主力ビジネスとなるのはデジタルマーケティング支援の領域だ。これまで、マルチデバイス対応の広告プラットフォーム「Cross X AI」に加え、オーディエンス分析・予測を実現するデータサイエンスプラットフォーム「AIXON(アイソン)」を提供してきた。そして、2018年8月には満を持して、AI主導の次世代マーケティングオートメーション(MA)プラットフォーム「AIQUA(アイコア)」をリリースした。

 これらの製品が何を実現するのか。そしてAppierがAIで成し遂げようとしていることは何か。CEO兼共同創業者のチハン・ユー氏に、同社の事業戦略について聞いた。

3つの製品でマーケティングファネル全体をカバー
——新製品のAIQUAは「AI主導の次世代マーケティングオートメーションプラットフォーム」ということですが、他社のMAとの違いを教えてください。

ユー氏 AIQUAの差別化要素は2つあります。まず私たちのソリューションは、お客さまの社内データベースだけを考えていないということにあります。自社サイトのやりとりだけを中心に見ていると、どうしてもカスタマージャーニーが限定されてしまう。AIQUAの設計で重視したのは、どうすればお客さまが社外の顧客接点にリーチできるかということでした。自社のデータ以外で顧客が何をしているかが分かれば、リーチが広がる分、顧客に対して先行的(プロアクティブ)に手を打てます。これがAIQUAの設計で重視した1つ目のポイントです。2つ目は、クロスデバイスでも顧客を統合的に見ることができること。一般的にデータはデバイスごとに分断してしまいますが、私たちは他とは違うテクノロジーで顧客を統合的に見ることができるのです。

——AIQUAの導入事例について教えてください。

ユー氏 AIQUAは発売以降、順調に採用が進んでいます。例えば南インドのあるOTT(Over the Top)プロバイダーが採用した例では、コンバージョンを50%向上させました。OTTというのはつまり、Netflixのようなサブスクリプション型の動画配信サービスのことです。サブスクリプションビジネスでは、無料会員の興味関心を醸成して有料会員への転換させるとともに、既に契約済みの有料会員に使い続けてもらい、解約の予兆があれば対策を打つことも必要になります。AIQUAはその両方に役立つのです。

——Appierの製品ポートフォリオには、MAだけでなく広告配信やAIによるオーディエンス予測分析があります。CrossX AIに始まって次がAIXON、そして今このタイミングでマーケティングオートメーションのAIQUAをリリースしたのは、何らかの技術的なブレークスルーがあってのことなのでしょうか。

ユー氏 というよりも、むしろお客さまのニーズに応えた形です。私たちは常に市場主導型のイノベーションを重視しています。AIXONをリリースしたときも同じで、お客さまの課題を解決するため、よりシンプルなAIソリューションを提供したかったのです。

——AIQUAを他の製品を合わせて使うことで、どのような効果が得られるのでしょうか。

ユー氏 Appierの製品は「見込み客選定・獲得」「維持・訴求(エンゲージ)」「オーディエンスの精査」まで3段階の処理をサポートします。CrossX AIはマーケティングファネルの上位に位置付けられ、見込み客を獲得する機能、ファネルの中間がAIQUAで既存ユーザーをロイヤルユーザーに転換する機能、ファネルの一番下はAIXONがロイヤルユーザーの将来の行動を予測する機能を担います。Appierのソリューションは3段階それぞれでデータを見逃すことがないよう、入手した全てのデータを保存します。

人間とテクノロジーの進歩を見据えて独自路線を歩む
——Appierの市場におけるポジショニングについて教えてください。どういう企業を競合と考えているのでしょうか。

ユー氏 Appierはユニークな立ち位置にあり、他の企業と競争しているという意識はありません。私たちが競争の対象としているのは、テクノロジーと人間の欲求の進歩です。私たちが興味を持っているのは、お客さまが今何を必要としているか、お客さまの今の取り組みをより良くするにはどうしたらいいかということだけです。私はもともと大学の研究者でしたから、常に他の人が何をやっているかよりも、先を見て独自のことをやろうと考えています。

——現在の顧客が今求めていることとは、具体的には何でしょうか。

ユー氏 最大のチャレンジはデータに関することです。データはとても重要ですが、うまく活用できている企業は多くありません。お客さまの将来の競争力を左右するのは、過去のデータではなく今あるデータです。だからこそ、私たちはお客さまが今あるデータをいかにうまく使うかに注力したいと考えています。マーケティングを顧客に対してよりプロアクティブなものにし、スピード感を高めるということ、そして集めたデータを長期的な資産に変えることを重視しています。

——ニーズがあるのはどういう企業でしょう。

ユー氏 過去2年ほどは、私たちのお客さまはインターネット企業が中心でしたが、2018年に入ってから、オンラインとオフラインの両方に注力する企業が増えてきました。日本だけでなくアジア全体でその傾向が見られます。AIの活用はほとんど全ての組織において重要です。データを蓄積し、資産に変えようとする企業はますます増えるでしょう。

——オンラインとオフラインの施策の統合に取り組む企業が増えているのは、世界的に何かそれを後押ししている要因があるのでしょうか。

ユー氏 世界的なトレンドというよりも、AIでユーザーの行動を予測するには、オンラインとオフラインのデータを統合しなければ、正しい解釈ができないからだと思います。マーケターが施策をスピーディーに展開するには、オフラインのチャネルをどうつなぐかを検討しなくてはいけません。また、社外で顧客が何をしているかを理解することも重要です。社外のデータへの拡張という点では、オンライン行動の理解にもまだ開拓の余地はあります。

機械と人間はお互いに学び合うことができる
——既にあるデータをどう活用するかと悩む企業もあれば、そもそも絶対的にデータ量が不足している企業もあります。後者がAIに期待することは、手っ取り早く正しい答えを得ることだと思うのですが。

ユー氏 私たちがやりたいことは、まさにそうしたニーズに応えることです。もっと言えば、顧客に関するあらゆるデータを十分に持っている企業というのは、恐らく1つも存在しないと思っています。顧客と深くつながるには多くのデータが必要です。Appierはお客さまが必要とするデータを補完的に提供でき、高額な費用を投じなくても最先端の機械学習やディープラーニングのアルゴリズムを利用できるようにしています。

——データ、アルゴリズム、アプリケーションの3つの分野で顧客を支援すると。

ユー氏 Appierはアジアを中心とする20億人分のクロスデバイスユーザーデータを収集しているので、CrossX、AIQUA、AIXONを使えば、顧客の行動理解や予測に関して、自社に足りないデータを補完できます。お客さまが持つデータを基にした理解とわれわれが持つデータを基にした理解を組み合わせることで、素晴らしい成果が出せるでしょう。

——現場のマーケターにとって、機械学習のアルゴリズムを使うことは難しくないでしょうか。

ユー氏 CrossXでもAIQUAでも、処理は自動的に実行されるので、ユーザーは高度なアルゴリズムを利用しているという感覚はないでしょう。それでも裏にあるアルゴリズムが強力なものであることは理解してもらえるはずです。AIXONではマーケター自身がアルゴリズムを意識することなく、キャンペーンに必要な分析軸を選ぶことができるし、選んだ分析軸によって結果がどう変わるかをその目で見ることもできます。

——AIの意思決定のプロセスをブラックボックスにしないことは重要ですね。

ユー氏 その通りです。AIXONではAIがどのように意思決定を行っているかをマーケターが最善の形で学ぶことができます。逆にAIの意思決定に人間がインスピレーションを得ることもあります。機械と人間はお互いに学び合うことができるというのが私の考えです。

——今後注力したいことがあれば教えてください。

ユー氏 Appierでは「全てのビジネスに使えるAIを提供する」を会社のビジョンとして掲げています。もっと完全な形で製品ポートフォリオを拡大することに注力しています。アジアからさらに販路を広げていくこと、B2Cに加えてB2Bまで支援するお客さまを広げることも将来的な検討課題です。とはいえ、最優先すべきは今私たちの製品を使ってくださっている企業です。私たちは今後も、お客さまのビジネスの成功をサポートすることを重視していきます。

執筆者紹介

リモコンは使わせない AI時代のエアコンが目指すこと

 2018年の白物家電はAI(人工知能)にあふれているようだ。10月4日にシャープとダイキンが相次いで家庭用エアコンの新製品を発表。いずれもWi-Fiを標準搭載し、クラウド上のAIが自動制御する。狙いはユーザーが快適に感じる環境を持続させることだ。

 ダイキンが11月1日に発売する「うるさら7(Rシリーズ)」は、気温や気流に加え、湿度や壁の温度といった条件も加味してAIでコントロールするのが特徴。同社は人が快適と感じる環境の外的要素として「温度」「湿度」「気流」「輻射」の4つを挙げる。

 Rシリーズには、温度変化を抑えながら湿度を下げる新しい除湿機構の他、新たに壁の輻射熱を計測するセンサーを搭載。4つの要素にユーザーの主観(リモコン操作)を加えて「好みの快適さ」を学習していく。

 輻射に着目したのは、体感温度に影響するため。例えば暖房を21度に設定したとき、従来はエアコンの吸い込む空気が21度に到達すると安定運転に移行していたが、床や壁は冷えたままなので肌寒さを感じるケースも多く、結果としてユーザーはリモコンで設定温度を上げていたという。

 新製品の場合は室温や湿度、壁温度などから総合的に判断、「好みの快適さ」を学習していく。もし従来通りの制御で室温が21度に達してもユーザーが設定温度を上げたら、まだ足りないと判断し、例えば床や壁の温度が上昇するまで暖房を続ける。

 AIが「快適」と判断する基準は、「30分間、リモコンが操作されないこと」(開発担当者)。エアコン導入後1週間程度使い続ければ「好みの快適さ」を学習し、その後はリモコンの使用頻度は下がると話している。

 シャープが10月25日に発売する「Xシリーズ」は、AIを快適さの維持と節電の両方に活用する。

 冷暖房の効き方は部屋の断熱性能によって異なるため、Xシリーズではまず、温度変化と経過時間を基に「部屋の性能」を学習する。同時に毎日の操作履歴からユーザーの生活パターンを学習し、それに合わせて効率的に冷暖房を行うことで節電につなげる。

 例えば帰宅時。これまでは素早く部屋を冷やす(暖める)ためフルパワー運転が当たり前だったが、エアコンの場合は急激な立ち上がりが最も電力消費が激しい。

 シャープでは「家に人がいない時間にエアコンを動かすのに一気に冷やす必要はない」と判断。ユーザーの生活パターンから帰宅時間を予測し、あらかじめ時間をかけて部屋を冷やしていく「省エネ立ち上げ制御」で電力消費を抑えた。

 「帰宅したときに部屋が快適になっているのは同じでも積算消費電力量は違う」(シャープ)。新製品の「AY-J40X2」(暖房11〜14畳、冷房11〜17畳用)の場合、立ち上げ制御を使わないと設定温度に達するまでに228Whを消費するが、使った場合は186Whで済むという(冷房26度、14畳の部屋で検証)。

 ただし生活パターンには例外も多いため、運転を始める前に通知を送る仕様とした。帰宅時間に合わせ、ユーザーのスマートフォンに「そろそろエアコンをつけますか? リビングを省エネで快適にしておきますよ」というメッセージが届く。「はい」をタップするとエアコンが運転を開始する仕組みだ。

 スマートフォンは5台まで登録可能。専用アプリでは他にも人感センサーが反応したら知らせたり、設定した温度を超えるとアラートを出したりと、さまざまな役割を持たせた。AI制御による自動化と合わせ、リモコンの使用頻度は下がると考えている。「いずれはリモコンをなくしてしまおう、という意気込みで開発している」(シャープ開発担当者)

 AI時代のエアコンは、「いかにリモコンを使わせないか」の勝負になりそうだ。

孫正義「ライドシェア=配車アプリ、は見当違いで過小評価」 なぜソフトバンクはモビリティーに着目したか

 「ライドシェアを『配車アプリ』と表現するのは見当違いだ」──ソフトバンクグループの孫正義社長は10月4日、トヨタ自動車とソフトバンクが共同で設立するモビリティーの新会社「MONET Technologies」(モネ テクノロジーズ、MONET)の発表会でそう話した。

 ソフトバンクはこれまでにライドシェア大手の米Uber、中国DiDi、シンガポールGrab、インドOLAに筆頭株主として出資を行ってきた。孫社長は、4社を単にライドシェア企業ではなく「AIを活用したモビリティープラットフォーム」として捉えているという。

 「国内では、Uberなどを『配車アプリ』とよく表現しているが、全くの見当違いで過小評価だと私は思っている。これらの会社はAIを活用したプラットフォーム。街の100メートル四方で15分後に何台の車が足りなくなるのか、余るのか、どこで客が手をあげるのか。ヒートマップを作り、未来の需要を予測しながら供給している」(孫社長)

 孫社長は4社の運賃取扱高があわせて約10兆円まで伸びており、今後10年以内には米Amazon.comの取扱高を追い越すとみている。さらに4社を"ファミリーカンパニー"に迎え入れたことについて、自動運転車が普及するまでの市場形成を見据えているようだ。

 「自動運転技術を取り入れたクルマは、スーパーコンピュータの塊。市場に出始めた当初は、1台あたり数千万円するだろう。ターゲット顧客は個人ではなく、ライドシェア企業が圧倒的に大きい。合わせて世界シェア9割のライドシェア企業をファミリーカンパニーに迎え入れることは意味があるのではないか」(孫社長)

 MONETは、2020年代半ばまでにトヨタがモビリティーサービス向けとして開発中の多目的電気自動車(EV)「e-Palette」(イーパレット)を商業化したい考えだ。

Microsoft Azureで動くインスタンスの半分以上は「Linux」

 米ZDNetによれば、今や「Azure上で動作するインスタンスの半分以上がLinux」であるという。AzureにおけるLinuxのインスタンスシェアは、3年前に「全体の4分の1」、2017年に「40%」と上昇し続けており、Ignite 2018でのスコット・ガスリー氏による発表ではついに「半分をわずかに上回る水準」まで達した。

 同氏によれば、Linuxのシェアは毎月上昇しているとのこと。毎月Azureの顧客数が上昇していることを鑑みれば、Linuxの利用を目的にAzureを導入する新規ユーザーが増えていると考えていいだろう。

 「AzureといえばWindows」のような先入観があったといえばウソではないが、かつてのAzureはMicrosoftの顧客がクラウドに移行するための「パス(Path)」として機能していた。しかし、今日ではその限りではなく、さまざまなニーズを吸収する形で非Microsoftの顧客も取り込んでいるのだろう。

 実際、昨今は米Amazon.comへの対抗が理由で「AWS(Amazon Web Services)」ではなく、あえてMicrosoftと組む顧客もいるわけで、純粋に技術的な理由だけでなく、政治的な理由でAzureが避難地として機能している側面もあるのかもしれない。

 昨今のMicrosoftには、Windowsを必要とせず、IoTのセキュリティをハードウェア、OS、サービスの3つで守る仕組み「Azure Sphere」のようなセキュリティソリューションもある。「最終的にMicrosoftのサービスが利用されればいい」というのが基本スタンスのようだ。

2018年10月4日木曜日

国内パブリッククラウド市場の成長率は毎年20%超、IDCが予測

 IDC Japan2018101日、国内パブリッククラウドサービス市場の予測を発表した。それによると、2018年の市場規模は、対前年比27.4%増の6663億円。20172022年の年間平均成長率(CAGRCompound Annual Growth Rate)は22.9%で、2022年の市場規模は2017年の2.8倍に当たる14655億円に達すると予測した。

 

 なお、同社が予測したパブリッククラウドサービス市場は「SaaSSoftware as a Service)」「PaaSPlatform as a Service)」「IaaSInfrastructure as a Service)」を意味しており、関連する導入や運用、サポートなどのITサービスの他、PaaSIaaS上で稼働するアプリケーションを含んでいない。

 

 パブリッククラウドサービスが成長する理由をIDC Japan3つ挙げている。第1にパブリッククラウドサービスのサイバーセキュリティに対する懸念が解消されつつあること、第2にセキュリティの運用サービスを備えたマネージドパブリッククラウドサービスを提供するベンダーが増加したことだ。このようにして従来型ITからクラウドへの移行が進むとした。

 

 第3にデジタルトランスフォーメーション(DXDigital Transformation)が、クラウドへの移行を後押しすると指摘する。DXアプリケーションは、その開発に業務担当者の関与が必要であることに加え、優れた拡張性や柔軟性、連携性と短いサイクルでのリリースが重要になるからだ。

 

 そのため、DevOpsや、高度なプログラミングを施さずにアプリケーションを開発する「Low Code」や「No Code」が注目を集め、IoTInternet of Things)やAI(人工知能)といった新技術を活用したソリューションの開発が進んでいる。これらの技術やソリューションは、「クラウドネイティブアーキテクチャ」を核として発展しており、今後の国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進する大きな要因になるとIDCは見ている。

 

 IDC JapanITサービスのリサーチディレクターを務める松本聡氏は、「現在、クラウドネイティブに適したPaaSが発展している。PaaSの発展がDXアプリケーションの開発を促進し、新しいIT市場を開拓する重要な役割を果たしている」と述べている。

 

 
国内パブリッククラウドサービス市場の売上額予測(出典:IDC Japan

“配送ロボ”が宅配ボックスから玄関先まで荷物をお届け——日立ら4社、マンション向け配送サービスを共同開発へ

 アイホン、日立製作所(日立)、日立ビルシステム、フルタイムシステムは、配送ロボットを活用した「マンション内宅配システム」の開発に向けて協創を開始した。マンションのエントランス付近の専用宅配ボックスから居住者宅の玄関前まで、居住者の希望するタイミングで配送ロボットが宅配物を届けるサービスの実現を目指す。

 

 マンションなどがエントランス付近に設置する宅配ボックスは、不在時に荷物を受け取れる利便性や、再発達の削減効果などが期待されるものの、預け入れた荷物が満杯で入れられず再配達になってしまうケースや、重量のある荷物を居住者が自宅まで運べないケースなども発生しているという。

 

 4社が共同で開発するマンション内宅配システムは、この課題を解決するもの。マンションエントランス付近に専用の受付・保管システム付きフルタイムロッカー(宅配ボックス)を設置し、宅配業者が受付ユニットに荷物を預け入れると、保管ユニットに収納され、一時的に保管される。

 

 着荷情報は、居住者のスマートフォンに専用アプリで通知するとともに、住戸内のインターフォン画面にも表示。居住者がインターフォンから配達依頼を出すと、保管ユニットから荷物を取り出し、配送ロボットがマンション内を移動して玄関前まで届け、インターフォンを呼び出す。

 

 宅配ボックスの受付・保管システムと居住者用アプリはフルタイムシステムが、住戸内インターフォンでの表示・呼び出し機能はアイホンが開発を担当。エレベーター、インターフォンシステム、宅配ボックスを連動させ、配送ロボットを制御するシステムは、日立と日立ビルシステムが開発する。配送ロボットは、工場向けなどで実用化されている製品を活用する予定だという。

 

 4社は今後、システムの実現に必要な技術開発や検証を進め、新築マンション向けのソリューションとして、2021年度のサービス化を目指すとしている。

 

 

PivotalがアプリケーションプラットフォームPCFの新版を発表、PKSではAWSをサポート

 Pivotalは2018年9月25日(米国時間)、同社が開催中の「SpringOne Platform 2018」で、アプリケーションプラットフォームの新版「Pivotal Cloud Foundry 2.3(PCF 2.3)」を発表した。

 PCFは、Cloud Foundryプラットフォームである「Pivotal Application Sercice(PAS)」、Kubernetes環境を提供する「Pivotal Container Service(PKS)」、そしてマーケットプレイス機能である「Pivotal Services Marketplace」を統合したもの。それぞれに進化が見られる。

 なお、Pivotalは以前、サーバレスコンピューティングを実現する「Pivotal Functions Service(PFS)」を2018年中に追加すると表明していた。R&D担当シニアバイスプレジデントのオンシ・ファクーリ(Onsi Fakhouri)氏は、同社が参加し、コードコントリビューションをしているOSSプロジェクト、Knativeの技術を活用し、間もなく提供すると話した。

PKSはvSphere、GCPに続きAWSをサポート、Azureにも間もなく対応
 PKSの新版PKS 1.2は、Amazon Web Services(AWS)上で稼働できるようになった。PivotalがVMwareおよびGoogle Cloudとともに開発したPKSは、これまでVMware vSphereとGoogle Cloud Platformの上で動かすことができた。これにAWSが加わったことになる。ファクーリ氏によると、Microsoft Azureのサポートも間もなく実現するという。

 Kubernetesは3カ月単位でバージョンアップするが、PKS 1.2ではKubernetes 1.10から1.11への更新が自動的に、ダウンタイムなしで行われる。

 また、PKS 1.2では、マスターノード、etcdノードを複数のアベイラビリティゾーンに配置することで、可用性を高めるマルチマスター機能が、本番適用できるようになった。同機能は、前バージョンのPKS 1.1ではβとして提供されていた。

 マーケットプレイス機能の「Pivotal Services Marketplace」では、これまでRabbitMQ、MySQLなどをオンデマンドで、自動運用されるものとして提供されてきたが、間もなくAWSのサービスブローカー機能が加わるという。これにより、AWSのサービスカタログに含まれる18のサービスが利用できるようになる。

「複雑性排除」が今回のテーマ
 Cloud Foundryに基づくPASは、開発者が余計なことにとらわれずに高速なイテレーションを実行することを助けるプラットフォームとして提供されてきた。だが、大規模環境では、さまざまな複雑性が避けられない。

 そこで監視ツールである「Healthwatch」の新バージョンでは、ダッシュボードのユーザーインタフェースを一新、トップで全体を俯瞰し、実行すべきアクションが一目で分かるようにしたという。

 また、自動アップデートに関しては、Pivotal社内で活用してきたConcourseを活用し、「Platform Automation」と呼ぶツールを提供開始する。同ツールでは、基盤に関わるあらゆるパッチを自動実行するという。

 Istioが提供しているようなサービスメッシュの機能は、「コードでなくコンフィグによって洗練されたアプリケーションネットワーキングを実現するもので、素晴らしい。だが、まだ初期の段階だ。そこで、コミュニティ・エコシステムのベストな技術を、段階的にPCFへ組み込んでいく」とファクーリ氏は話した。

 こうした取り組みの1つに、PAS 2.3で追加されたアプリケーションの相互認証機能である「Mutual TLS」があるという。証明書は毎日、自動更新される。大規模な環境への適用における複雑さはないと、ファクーリ氏は説明した。

AIで企業や商品に対する“顧客の声”を約1300種類に分類する「感性分析サービス」 日立から

 日立製作所(日立)は2018年10月1日、SNSやブログ、口コミサイトなどの情報、テレビや新聞などのメディア情報、コールセンターの会話記録などから、企業や商品に対する"顧客の声"を約1300種類の「話題」「感情」「意図」に分類、可視化する「感性分析サービス」の提供を開始した。

 感性分析サービスは、徳島大学発のベンチャー企業である言語理解研究所(ILU)の感性分析AI「ABスクエア」を活用し、日立と本田技研工業(以下、Honda)と共同開発した。自然言語を高精度に理解するAIエンジンにより、メディアなどから収集したテキストデータを、約1300種類の話題・感情・意図に分類し、「好意的」「中立」「悪意的」の3大分類と、さらに細分化した全81種類の中から感情を特定できるなど、文意を考慮した高精度な感性分析ができる。

 この解析に用いる辞書データベースは、ILUが約30年にわたって蓄積した7万6000種類の単語知識と400億パターン以上の意味共起(自然言語処理分野で、関連する複数の文字列が生起すること)知識の組み合わせから構成されており、文章に込められた感情や意図など、文字では読み取れない間接的な意味も高い精度で理解できるという。

 さらに、分析に必要なデータを高精度に絞り込むため、日立が機械学習技術を活用したフィルタリング技術を開発。ILUのAIエンジンとともにサービスの中核技術として適用した。

 このフィルタリング技術は、収集したい単語に関連性の高い単語を機械学習し、絞り込み条件を自動更新する。流行語や造語、専門用語など、絞り込み条件として登録されていない語でも、出現頻度や単語間の係り受けの関係から分析対象になるか否かを判断する。データの絞り込み精度を継続的に向上でき、辞書メンテナンスに要する作業負荷を抑えられる。

 また、分析結果を表示するビュワーには、ユーザーが"気づき"を得やすい検索機能を実装。分析データに、単語間の関係性を示す情報をタグ付けし、単語一致でなく、話題一致で検索できるようにした。例えば、「ホームラン」と記載がある文章は、「野球」のカテゴリーに分類し、「野球」で絞り込んだ場合に、原文に「野球」の記載がなくても、「野球」に分類された一連の情報とともに検索結果に表示する。

 業務システムとの連携も可能で、顧客の声を拡販計画や売上予測などにつなげられる他、ネガティブな感情の拡大を自動検知、報告する機能により、リスク対策ツールとしても利用できるなど、企業の多岐にわたる業務への活用が期待できるとしている。

 感性分析サービスの提供価格は、個別見積もり。活用コンサルティングサービス、構築サービス、維持運用サービスをトータルで提供する。

 サービスの提供開始に先行して、2018年4月からHondaの広報・マーケティング活動に適用。新車発表やイベント出展の反響分析として、顧客のイメージや感情を車種別やトピック別などに精緻に可視化し、分析やレポート作成に要する業務負荷を軽減できるなど、一定の効果を得ているという。

 今後、日立は、Hondaとの取り組みを日立のデジタルソリューション「Lumada」のユースケースとし、コンシューマー向け事業を展開する企業を中心に同サービスを幅広く展開していく。

高砂熱学工業とヤマト科学が業務提携、IoT・AI技術を駆使した新サービスを展開

 高砂熱学工業は、科学機器・研究施設総合メーカーのヤマト科学と、基幹事業での新たなソリューション開発や営業基盤を活用した顧客・売上の拡大を目的に、業務提携を締結した。

 高砂熱学工業では、進行中の中期経営計画「iNnovate on 2019 just move on!」(2017〜2019年度)」において、成長に向けた「変革の断行」をスローガンに、空調工事を核にした総合設備工事業への飛躍と、将来を見据えた第2、第3の柱となる新たな事業の創出に取り組んでいる。メインとなる設備工事でこれまでに蓄積してきた技術・ノウハウと、IoT・AIの技術を組み合わせ、新サービスの提供を目指す。

 今回提携したヤマト科学は、高砂熱学工業が研究施設・バイオ関連施設向けに開発した高速VAV「可変風量ダンパ」や給排気統合管理システム「i-Fumeシリーズ」を用いて、局所排気装置「ヒュームフード」および給排気設備を含めた給排気システムの共同提案・設計・施工を既に行っている。

 両社の提携により、研究施設およびバイオ関連施設に加え、産業系をはじめとした幅広い顧客に対して提案、販売、保守サービス、研究開発を行える体制がより強固なものとなる。

 将来的には高機能、高信頼性、省CO2などを目的とした革新的な商品とサービス創造のための共同開発の実施の他、「給排気総合管理システム」「二酸化塩素除染サービス」などの展開も見据えている。業務提携の期間は5年間。

AIは職業にどのような影響を与えていくのか、どう使っていけばいいのか。これからの働き方を考える

 AIによって失業者は増えると思いますか?——転職サービスのエン・ジャパンが、2016年8月にこんなアンケートを行っています。今から2年前になりますが、どのくらいの割合の人々が「AI失業」を予想していたと思いますか(詳しいアンケート結果はこちら)?

 答えはちょうど半分の50パーセント。2年前でも、既に2人に1人がAIによる失業を実感していたわけですね。ちなみにこの割合、ご想像の通り若い世代の方が高くなっていて、50代の40パーセントに対し30代では58パーセントと、20ポイント近く差が開いています。

 面白いのは、同じアンケートの3番目の質問「今のご自身の仕事は近い将来、AIに代替されてなくなってしまうと思いますか?」に対する結果です。先ほどの質問では半数の人々がAI失業を予想していましたが、自分の仕事がなくなると思うか?という質問に対して「はい」と答えたのは、全体のたった17パーセント。皆さん「AIによって仕事を失う人も出てくるだろうけど、自分の仕事に差し迫った危険はない」と感じているわけですね。

 この見通しが甘いかどうかは別にして、実際にいま、多くの職場で人員余剰よりも人手不足の方が課題として認識されています。人手不足の状況と原因については、さまざまな分析がなされていますが、今年3月に内閣府が発表した報告では、「景気の回復に伴う労働需要の高まりに対して、労働供給が完全には追いついていないため、中小企業を中心に人手不足感はバブル期並みの水準となっている」と解説されています。

 しかもご存知の通り、日本は少子高齢化社会がますます進行中で、労働力は減る一方。さらに他の諸外国でも人口は頭打ちで、中国ですら、2025年頃から労働輸入国に転じると予想されています。つまりいま移民を受け入れるべきかという議論が活発になっていますが、移民に門戸を開いたからといって、日本にやってきてくれるとは限らないわけですね。

 だからいまこそAIの出番——と言いたいところですが、いくらAIで自走自動車が実現される時代になったからといって、同じAIにオフィスの掃除をお願いすることはできません。運転もできれば料理もできる、土木作業や子供の世話まで——などという汎用ロボットが誰でも手に入るという未来は、まだ地平線にすら見えていないのです。「自分の仕事が近い将来、ロボットやAIに代替されてしまうことはない」と予想した多くの人々は、正しく未来を見据えていると言えるでしょう(残念ながら全員ではないはずですが)。

 とはいえ、当然ながらこの問題にAIがまったく役立たないわけではありません。いま仕事をしている人々に、なるべく長く職場にとどまってもらう、そのためにAIを活用しようという動きが広がっています。人から仕事を奪うのではなく、辞めずに続けてもらうよう手助けするAIというわけです。

 企業にとって、せっかく育てた人材が辞めてしまうというのは大きな損失です。これまでその人物の採用や教育にかけたコストが無駄になってしまうだけでなく、彼らが持っていたノウハウや経験で生み出されるはずだった利益がなくなり、さらに後任を探す手間暇がかかってしまうわけですから。しかも前述の通り、いまは人手不足で後任が見つかる保証のない時代に突入しています。

 そこで以前から、退職しそうな社員をデータから予測し、上司による引き留めなどの先手を打つという取り組みが行われてきました。有名なもののひとつが、HP(ヒューレット・パッカード)が行っている「フライト・リスク(flight risk)」分析(この話題を初期に取り上げた書籍の一冊、エリック・シーゲル著『ヤバい予測学』では、フライト・リスクを「逃亡リスク」と訳しています)。これは勤務評価や昇進・昇給の状況といったデータを基に、離職するリスクを数値化するというもの。HPは2010年代初めからこの取り組みを行い、リスクが高いと判断された社員に引き留めなどの対応を行うことで、潜在的に3億ドルものコスト削減効果を得たとされています。

 「辞めそうな人を可視化する」という発想がわかりやすいためか、同種の取り組みはさまざまな企業で行われ、高度化が進められています。人材大手のパーソルホールディングスでは、退職者を含む3500人分の社員情報を基に、正解率90パーセントという退職予測モデルをつくり上げたそうです。またポルトガル発のスタートアップPerformetricは、キーボードとマウスの使用データから従業員の疲労レベルやストレスレベル、感情の起伏等をリアルタイムで検知するというサービスを提供しています。ビッグデータ時代が到来し、分析の対象となるデータの量と種類を大幅に増やすことが可能になった結果、高い精度で従業員の不満や退職の可能性を把握できるようになっているわけですね。

 さらにそうした予測システムを、自社でつくる必要すらなくなっています。例えばオラクルの「HCM Cloud」のように、いま多くのHCM(Human Capital Management、人事管理)アプリケーションにおいて、フライト・リスクと同様の離職リスクを算出する機能が提供されるようになっています。実は皆さんが働く会社でも、知らないうちに自分の退職をAIが予測し、AIに仕事を奪われるのではなくむしろ引き留められていた——などということが起きておかしくない時代になっているわけですね。

 とはいえロボットやAIは急速に進化しつつあり、人間も現在の地位にあぐらをかいているわけにはいきません。AIに追いつかれない、あるいは追いつかれた際に別の仕事に移るためにも、これからの私たちは継続的なスキルアップに取り組む必要があります。そしてここでも、AIの力が生かされようとしています。

 数年前にMOOCs(Massive Open Online Courses、大規模公開オンライン講座)という言葉が話題になり、日本でも取り組みが進んでいますが、そのパイオニアであるCourseraやUdacityといったサービスでは、いまAIによる受講者のスキルの可視化が積極的にすすめられています。

 Courseraは、今年8月の公式ブログ上で、AIをベースとした「スキル・ベンチマーキング」というツールを立ち上げる予定であることを発表しました。これは彼らのサービスと契約している企業ユーザー向けに提供されるもので、自社の従業員がどのようなスキルを持っているか、他社と比較して劣っていないか、劣っている場合にはどの講座を受講させれば良いかを分析・提案してくれるというもの。Courseraは既に1400社以上の企業ユーザーと提携し、彼らの講座を提供しています。さらに個人ユーザーも3000万人以上が登録しており、こうしたユーザーたちから得られる膨大なデータを機械学習で分析。企業が業界や地域、組織の規模といった単位で競合他社と比較するのを可能にするとともに、「機械学習」のようなスキル単位で、優秀な従業員や自社レベルを把握できるようになるそうです。

 また多くの先進的なMOOCsにおいて、学習者の過去のパフォーマンスを分析し、次に受講すべき講座を提案したり、個々の学習者に効果的な学習パターンを割り出したり、彼らの将来の習熟度を予測したりといった取り組みが行われています。こうした学習のモニタリングは、ややもすると上からの監視だという印象を従業員に与えかねません。しかしAIによって精度の高い分析や予測が行われるようになれば、逆に人間よりも偏見や見落としの少ない評価をしてもらえるという捉え方をされるようになるのではないでしょうか。

 面白い調査結果があります。消費者を対象にした調査なのですが、2017年にコンサルティング会社のアクセンチュアが行ったアンケートで、回答者の62パーセントが「AIに対応されることに抵抗はない」と答えています。さらに何らかのアドバイスを受ける際、人間よりもAIの方が優れていると思われる点は何か?という質問に対しては、68パーセントが「偏見が少ない」、64パーセントが「コミュニケーションがより丁寧」と答えているのです。上司にキャリアアップの相談を持ち掛けるよりも、AIにアドバイスをもらう方が良い、と感じる人々も増えてくるかもしれません。

 でも企業内でのツールだと、辞めてしまったらそれで終わりだから……と思われたでしょうか? 実はそうとも限りません。退職者に対し、合意を得た上で(いつか再雇用することを見越して)彼らのデータを残しておいたり、あるいは退職者用のグループを用意したりといった対応は普通に行われています。彼らが元社員のスキルを退職後もフォローして、例えばCourseraのユーザーであれば退職後も講座の受講状況を(同じく合意の上で)追跡するなどして、必要に応じてラブコールを送るといったことも行われるようになるでしょう。

 実際、ATS(Applicant Tracking System、採用管理システム)の分野では、ソフトウェアが応募者に関する膨大な情報を自動で収集・分析するようになっています。中にはいったん不採用とした応募者についても、その後の活動をネット上で(SNSや上記のようなMOOCsを追うなどして)追跡し、彼らのスキルとマッチする案件が出てきたら再度コンタクトするという場合も。それを不気味だと感じるか、頼もしいと感じるかは人それぞれだと思いますが、いずれにしてもAIは当面、仕事を奪うよりも奪われないように助けてくれる存在になってくれそうです。

2018年10月3日水曜日

Pythonのメタプログラミングについてのまとめと活用例

Pythonについて勉強するうちにメタプログラミングについて、興味が出てきたのでまとめます。

メタプログラミングとは
メタプログラミングについてWikipediaを参照すると以下のように説明されています。

メタプログラミング (metaprogramming) とはプログラミング技法の一種で、ロジックを直接コーディングするのではなく、あるパターンをもったロジックを生成する高位ロジックによってプログラミングを行う方法

また、より簡潔に、「プログラムのプログラミング」と説明することができます。

Pythonにおけるメタプログラミング
Pythonでは、メタプログラミングとは、一般的に以下の概念を利用したプログラミングについて指します。
metaclass
decorator

metaclassとは
クラスをインスタンス化するとオブジェクトが生成されます。この考え方を拡張しメタクラスについては、"インスタンス化するとクラスが生成されるクラス"と説明できます。

つまり、Pythonのインスタンス生成は以下のように2つあるということができます。

metaclass -> class
class -> object

metaclassを使用すると、オブジェクトの生成プロセスをコントロールすることができます。通常のプログラムでは扱えない、抽象的なレベルでコーディング出来ます。具体例はPython言語リファレンスのデータモデルから以下のように引用できます。

メタクラスは限りない潜在的利用価値を持っています。これまで試されてきたアイデアには、ログ記録、インタフェースのチェック、自動デリゲーション、自動プロパティ生成、プロキシ、フレームワーク、そして自動リソースロック/同期といったものがあります。

メタクラス実装の単純な例
詳細な説明の前に単純な例を見てもらったほうが早いかと思います。

# 最も単純な例
class A(type):
pass

# __new__関数を使用した例
class B(type):
def __new__(cls, name, bases, dict):
dict['foo'] = 'bar'
return type.__new__(cls, name, bases, dict)
上記コードを解説していきます。まず、いきなりtypeというよくわからないものを継承していて面食らったと思いますが、これについてはあとで説明していきます。

クラスBですが、これは変数名がfooで内容が"bar"のメンバ変数をメタクラスを適用させるクラスに追加しています。

次にメタクラスの使用方法ですが、メタ操作を行いたいクラスにおいて以下のように使います。

class C(metaclass=B):
pass
これにより、クラスCにはメンバ変数fooが自動的に追加されます。

typeとはなにか
Pythonには、インスタンスからその型を取り出す関数としてtypeがありますが、type関数にはもうひとつ、 第1引数に文字列でクラス名、第2引数に親クラスの列、第3引数にクラスのメソッドや属性を定義した dict を渡して type を呼び出すとクラスを動的に定義することができる機能があります。たとえば、クラス名がAで、クラスX, Yを継承しており、クラス変数として、変数名がnameで内容がtaroskyであるものは以下のように生成します。

class X: pass
class Y: pass
a = type('A', (X, Y), {'name': 'tarosky'})
このコードは以下のコードとは本質的にはほぼ等価です。

class X: pass
class Y: pass
class A(X, Y):
name = 'tarosky'

a = A
ここでtypeはクラスの情報をコンストラクタで受けとり、メタクラスのインスタンス(=クラス)を生成しているとも考えることができます。つまり、typeがメタクラスであると納得する理由を以下のように説明できます。

typeのインスタンス化した結果、生成されるものはクラスである
インスタンス化した結果生成されたものがクラスであるものはメタクラスである
よってtypeはメタクラスである
またこの理由より、メタクラスを実装する際にtypeを継承することでメタクラスが宣言できる理由がわかると思います。

__new__関数
インスタンスができるプロセスを説明すると最初に__new__関数が呼ばれ、そして__new__は未初期化のインスタンスを生成します。そこから、__init__関数が呼び出されインスタンスを初期化します。また混同しやすい点なのですが、metaclassの__new__関数とclassの__new__関数は全く別物です。例えばメタクラスを適用したクラスを継承したクラスに__new__関数を実装したとしてもメタクラスの__new__はオーバーロードできません。これらの特殊関数についてまとめると以下の通りになります。

__new__
未初期化のインスタンスを生成する。
継承などの動作も扱うことが可能
__init__
インスタンスを初期化する
活用例
Pythonの特徴的な機能の一つに多重継承があります。多重継承はコードが複雑になるという理由やリスコフの置換原則を守っていない等の理由で他の言語(JavaやRuby)だと禁止されていたりします。そこで唐突なのですが、Pythonを使いたいけど、多重継承を禁止した上でコーディングがしたいというニーズのために今回は練習を兼ねて、多重継承を禁止するコードを書いてみたいと思います。

class BanningMultipleInheritance(type):
def __new__(cls, name, bases, dict):
if len(bases) >= 2:
raise TypeError('多重継承はダメ')
return type.__new__(cls, name, bases, dict)


class A(metaclass=BanningMultipleInheritance):
pass


class B:
pass


if __name__ == '__main__':
type('aaa', (A, B), {}) # TypeErrorが出る
このように、メタプログラミングを用いると多重継承を禁止するコードがいとも簡単に書けてしまいます。

次に、インスタンス変数を略しても、(例: nameのところをn)変数を見つけてくれるようにするメタクラスを書いてみます。

import re

class SearchAttr(type):
def __new__(cls, name, bases, dict):
def search_attr(self, name):
attrs = [k for k in self.__dict__.keys()
if re.match(r'^{0}.*$'.format(name), k)]
if attrs == []:
raise AttributeError('Not Found')
elif len(attrs) != 1:
raise AttributeError('Not unique')
else:
return self.__dict__[attrs[0]]
dict['__getattr__'] = search_attr
return type.__new__(cls, name, bases, dict)


class A(metaclass=SearchAttr):
def __init__(self):
self.name = 'tarosky'
self.sex = 'male'
self.score = 120


if __name__ == '__main__':
a = A()
print(a.name) # tarosky
print(a.n) # tarosky
print(a.s) # AttributeError('Not unique')が出る
一つ注意点があって、このメタクラスはインスタンス変数名を略すことができますが、クラス変数については、見つけてくれません。

太陽が153日も活動していないことが判明! 氷河期突入の可能性は97%、33年間も地球冷却で人類滅亡へ!

 今年に入り、太陽活動が急激に停滞していることが明らかになった。このままいくと氷河期に突入する可能性もあるという。

 太陽は11年ごとに活動が活発化する極大期と減退する極小期を繰り返している。太陽黒点の減少が極小期突入のサインとなるが、英紙「Express」(9月24日付)によると、なんと今年は153日も太陽黒点が観測されない日があるというのだ!

 最後に極小期が訪れたのは2009年。それから11年後の2020年が極小期になるはずだったが、予定が前倒しになったかもしれない。すると、地球はより長い期間、寒冷期にさらされることになる。

「太陽は深い極小期に入りつつあります。NASAの人工衛星のデータを見てみると、熱圏(地球大気の最上層部)が冷やされており、縮小しています。文字通り、大気の半径が縮んでいるのです」(海外気象予報サイト「Space Weather」より)

 恐ろしいことに、極小期が長期間続くとミニ氷河期(小氷期)を招くことになる。ミニではあるが、我々にとっては過酷だ。かつて、太陽黒点数が著しく減少した「マウンダー極小期(Maunder Minimum)」(1645年〜1715年)に伴う小氷期では、北半球に甚大な被害がもたらされた。

 当時の資料によると、テムズ川やオランダの運河・河川では一冬の間完全に凍結する光景が頻繁に見られ、飢饉が頻繁に発生するようになり(1315年には150万人もの餓死者を記録)、疾病による死者も増加。アイスランドの人口は半分に減少し、グリーンランドのヴァイキング植民地は全滅。日本においても東日本を中心にたびたび飢饉が発生したと伝えられている。そして、これが70年も続いたのだ。

 そして、今後地球が小氷期に突入する確率は極めて高いことも分かっているのだ。英ノーザンブリア大学のバレンティーナ・ザーコバ教授らの研究によると、2030年までに太陽の活動が現在の60%まで低下し、97%(!)の確率で小氷期がやって来るという。そしてこの小氷期は33年間も続くというから驚きだ。

 今年は太陽黒点が観測されてない日が153日あったと先述したが、黒点ゼロ日は2016年はわずか32日、2015年は皆無だった。昨年は黒点ゼロ日が15日連続で観測され、ニュースにもなったが、それでも年間を通した黒点ゼロ日はたった69日。今年に入り、圧倒的なスピードで太陽活動は減退していることが分かる。

 ミニ氷河期は避けることはできなさそうだが、さらに恐ろしいことに、そのまま本格的な氷河期に突入する可能性もわずかながらあるという。英サウサンプトン大学のシブレン・ドリファウト教授によると、5%の確率で海流の循環が突如停止し、瞬時に地球が「氷河期」に入るというのだ!

 今月1日には、10月にもかかわらず全国で真夏日が記録されたばかりだが、そんな日々が懐かしくなるような長い冬がすぐにやって来るかもしれない……。

成田、出国審査でも「顔認証」開始 待ち時間の短縮狙い

 成田空港で3日、日本人の出国時に自動的に本人確認をする「顔認証ゲート」の運用が始まった。入国手続きでは全国の主要空港で導入されているが、出国手続きでの運用は全国初。

 パスポートをゲートの読み取り機にかざし、ICチップの顔写真データと、ゲートの内蔵カメラが撮った顔写真を照合する仕組み。約15秒で認証が終わる。2020年東京五輪・パラリンピックを控えて訪日外国人が増える中、日本人の審査を省力化し、外国人の審査に注力する狙いがある。

 ロシアへ旅行に行くという愛知県あま市の会社員、袴田恵美子さん(48)は「パスポートをかざすだけで簡単でした」と話した。

 3日は成田空港第2、第3ターミナルで計14台の運用が始まり、第1ターミナルでは22日に16台が導入される。

 法務省東京入国管理局成田空港支局の丸岡敬次長は「入国と出国のダブルで運用することで、審査の待ち時間短縮を加速させていきたい」と話している。

 法務省は11月末までに羽田、関西、中部、福岡の各空港でも出国手続きで導入する。

2018年10月2日火曜日

「Kubernetes 1.12」が公開、「Kubelet TLS Bootstrap」と「Azure VMSS」サポートが正式版に

 Cloud Native Computing FoundationCNCF)は2018927日(米国時間)、オープンソースのコンテナオーケストレーションプラットフォームの最新安定版「Kubernetes 1.12」をGitHubで公開したと発表した。

 Kubernetes3カ月ごとに安定版が公開されており、今回は2018年内の3回目の安定版公開に当たる。

 Kubernetes 1.12では、内部的な改良に加え、機能の完成による安定化に引き続き重点が置かれている。例えばセキュリティや「Microsoft Azure」関連などの主要機能が安定化している。

 注目すべき改良点は、待望されていた機能である「Kubelet TLS Bootstrap」と、「Azure仮想マシンスケールセット(VMSS)」のサポートがそれぞれ安定版となったことだ。

 これらの新機能は、本番アプリケーションを市場に迅速に提供する上でのセキュリティや可用性、回復性、使いやすさの向上につながるという。

Kubelet TLS Bootstrap

 20169月に公開されたKubernetes 1.4では、クラスタレベルの認証局(CA)に証明書を要求するためのAPIが導入されている。このAPIは、KubeletTLSクライアント証明書をプロビジョニングすることを目的としていた。

 Kubelet TLS Bootstrapを用いると、TLSで保護されたクラスタにKubeletが自身をブートストラップできる。この機能の最も重要な点は、署名付き証明書のプロビジョニングと配布を自動化できることだ。

Azure VMSSサポート

 Microsoft Azureで提供されるAzure仮想マシンスケールセット(VMSS)を用いると、設定されたスケジュールやマシン需要に基づいて、自動的に増減可能なVM(仮想マシン)のプールを作成、管理できる。このサービスにより、多数のVMの管理や、スケーリング、負荷分散を簡単に実行でき、アプリケーションの高い可用性と回復性を実現できる。Kubernetesワークロードとして実行される大規模アプリケーションにとって極めて重要な機能だという。

 KubernetesAzure VMSSを利用して、コンテナアプリケーションのスケーリングをサポートできる。

β段階にある主な機能

  • トポロジー対応の動的プロビジョニング:ストレージリソースが自身の位置を認識できる機能。「Amazon Elastic Block StoreAmazon EBS)」と「Google Compute EngineGCE)」永続ディスクのβサポートも提供する
  • 構成可能なポッドプロセス名前空間の共有:共通PID名前空間を共有するようにポッド内の複数コンテナを構成できる
  • 条件別のテイントノード:ユーザーは、テイントを使って、スケジューリングをブロックするノード条件を表現できる
  • Horizontal Pod Autoscaler:適切なサイズに迅速に到達できるように改良
  • ポッドのバーティカルスケーリング:ポッドのリソース制限をライフサイクルの中で変更できるようにする
  • KMSKey Management Service)による保存時の暗号化:「Google Cloud Key Management Service」「Azure Key Vault」「AWS Key Management Service」「Hashicorp Vault」など、さまざまな暗号化プロバイダーを使って、「etcd」に保存されているデータを暗号化できる

 

“AIチャットbot”が県民の救急医療相談に対応——埼玉県、NEC開発の「AI救急相談自動応答システム」を2019年7月に開始

 NEC2018921日、埼玉県からAI(人工知能)を活用したチャットbot(自動応答ソフトウェア)による「AI救急相談自動応答システム」を受注したと発表した。県民の急な病気やケガによる救急相談の利便性向上と、適正受診の推進による救急医療機関の負荷軽減に向けて、20197月からの本格稼働を予定している。

 埼玉県では、救急医療体制の充実を目指し、急な病気やケガの際に家庭での対処方法や医療機関への受診の必要性について看護師が電話で相談に応じる「埼玉県救急電話相談」を実施。現在は24時間365日体制で相談を受け付けており、その相談件数は年間約15万件に及ぶという。

 今回導入するAI救急相談自動応答システムは、スマートフォンやPCなどからいつでも相談できる、チャット形式による救急相談の自動応答サービスを提供する。

 NECAI技術「テキスト含意認識技術」を活用したチャットbotシステム「NEC 自動応答」を用いて構築。テキスト含意認識技術は、単語の重要性や文の構造から2つの文が同じ意味を含むかどうかを高精度に判定する。表現が異なっても意味が同じものや、似た表現で異なる意味のものでも、正しく分析できるという。

 専用チャットbotは、埼玉県のWebサイトなどで公開する予定。相談者がチャットbotの画面に入力した救急相談の文章を自動的に分析して、症状別のデータベースから適切な対処方法や緊急度などを判定し、高精度かつ高速に回答する。

 
AI救急相談自動応答システム」の利用イメージ

 さらに、的確な応答機能を実現するため、全国の救急電話相談対応サービスなどで実績とノウハウを持つダイヤル・サービスと連携。同社のノウハウを生かした高品質な対話シナリオを作成し、実装する。リアルな救急相談事例に基づいた自動応答チャット相談が可能になるという。

 同システムの導入により、埼玉県では県民に「手軽につながる救急相談」が可能なサービスを提供するとともに、救急電話相談員の応対業務の負荷軽減も期待できるとしている。

 また、NECでは、将来的に音声入力や外国語対応も支援し、同システムの強化を図っていく。

 

2018年10月1日月曜日

CIOの役割変化は、CISOの役割も変わることを意味する

 今では多くのCIO(最高情報責任者)が、主に自社の売り上げ成長やデジタルビジネスの拡大を担うCレベルのビジネス役員として働いている。これに伴い、最高情報セキュリティ責任者(CISO)も、変わることが期待されている。

 「CISOは現在の肩書が何であれ、好むと好まざるとにかかわらず、デジタルCISOとしての働きが求められるようになっている」。Gartnerのマネージングバイスプレジデントを務めるクリスチャン・バーンズ氏は、2018年6月に米国で開催されたGartner Security and Risk Management Summitでそう語った。

 CIOの役割の進化に合わせて、CISOの役割も進化しなければならない。この進化は進んでいきそうだ。Gartnerの「2018 CIO Survey」によると、CIOの95%が、サイバーセキュリティの脅威が増大し、自社に影響を与えると予想しているからだ。「今では、CIOはサイバーセキュリティを二の次にしてはならないことを認識している」(バーンズ氏)

 バーンズ氏は、CISOがこれに対応してCIOの新たな役割をサポートし、それによってもたらされる機会を利用することを勧めた。

 CIOの新たな役割をサポートし、それに伴う機会を利用する上での目標は、社内でセキュリティやリスクが技術的な問題としてではなく、戦略的な優先課題として捉えられるようにすることにある。CISOは、全社最適化を目指して厳密な方法により、ビジネス視点でリスク管理とサイバーセキュリティの取り組みを行い、そのコストと価値を提示しなければならない。そうすれば、CIOは取締役会や経営幹部がリスクベースの考え方を的確に取り入れ、リスクおよびセキュリティ投資の意思決定を改善し、リスク処理文化を進化させられるよう支援できる。

 バーンズ氏は、CISOが取るべきステップとして以下を挙げた。

*適切な説明を行い、経営幹部のリスクやサイバーセキュリティの捉え方が変わるように導く
*リスク管理およびセキュリティプログラムを正式なものにする
*ビジネス部門に提供するリスク管理およびセキュリティサービスのポートフォリオとカタログを用意し、これらをビジネス部門とチェックする
*ビジネス部門向けのリスク管理およびセキュリティサービスの標準コストを決定する
*ビジネス部門が費用対効果と許容可能なリスクレベルに基づいて、サービスレベルを選択できるようにする
*選択されたサービスレベルのサービスとして、リスクおよびセキュリティ予算を管理し、チャージバック(課金)またはショーバック(コストの通知)により、予算とビジネス効果の関連をビジネス部門が理解できるようにする

 リスクのステークホルダーであるIT以外の担当役員に、セキュリティのガバナンスグループや意思決定プロセスへの参加を得る準備をする必要もある。これらの役員は組織とそのニーズをよく把握していることが多い。

 CIOが担うビジネスリーダーシップの比重の増加は、CISOに機会をもたらす。CISOは、必要なリソースを持っていれば、CIOにリーダーシップの役割の一部を任せてほしいと提案することで、より多くの責任を引き受けられる。

 また、CIOが新たな役割を果たすようになったことで、CISOはCIOのビジネス上の重点に沿ってセキュリティ戦略に磨きをかけることも求められる。明確で包括的なビジョンを策定し、ビジネス結果と連動する指標を実装する必要がある。

 さらに、CISOは自社のデジタルビジネスチームと連絡を取り、良好な関係を築かなければならない。一般的に、デジタルビジネスチームは、業績優秀な成熟した組織内に設置される。こうしたチームは迅速に動き、通常、エンタープライズトランスフォーメーションに責任を持っている。そのため、CISOの今後の役割と密接に関わることから、CISOとデジタルビジネスチームの円滑な連携は組織にとってプラスになる。こうしたチームが社内にない場合、CISOは、今後このようなチームが育っていくかどうか見守らなければならない。

 さらにCISOは、CIOがどのような理由で、どのように技術ポートフォリオのリバランスを行うかに注意を払う必要がある。Gartnerの2018 CIO Surveyは、CIOがCISOに直接影響する2つの分野に多額の投資を行っていることを示している。それはクラウドサービスとサイバーセキュリティだ。だが、投資規模の順位は低いものの、人工知能(AI)と機械学習にも注目しなければならない。

 多くの企業がこれまで多大なIT投資を行ってきた。だが、今後はAIや機械学習が鍵を握りそうだ。採用難を克服するのに利用できるからだ。適切に利用すれば、AIはCISOに他の方法では得られない洞察をもたらすと、バーンズ氏は語った。さらに、AIを実装する際の3つの注意点も紹介した。

*ハイプ(誇大宣伝)を無視する
*小さく始める
*戦略的に実装する

 「AIのノウハウを磨く時だ。今後5年間、恩恵をもたらしてくれることだろう」と、バーンズ氏はアドバイスしている。

Microsoft、「Azure Machine Learningサービス」に自動機械学習機能を統合し、Python SDKを追加

 Microsoftは2018年9月24日(米国時間)、米国フロリダ州オーランドで開催中のITプロフェッショナル向けカンファレンス「Microsoft Ignite 2018」において、現在プレビュー段階にある自動機械学習機能を「Azure Machine Learningサービス」に統合中であることを発表した。さらに同サービスへPythonプログラミング言語用のSDKを追加したことも明らかにした。Pythonはデータサイエンティストに人気のプログラミング言語だ。

 この自動機械学習機能は、AI開発の一環としてデータの変換や、モデルの選択、ハイパーパラメーターのチューニングを自動的に行う。データから予測を行うモデルを開発し、トレーニングを施し、クラウド、オンプレミス、エッジにデプロイしたいと考える全ての人向けのエンドツーエンドソリューションとして、MicrosoftはAzure Machine Learningサービスを推進している。同サービスでの自動機械学習機能の提供は、この取り組みの最前線を担うことになるという。

 Python SDKは、Azure Machine Learningサービスを「Visual Studio Code」「PyCharm」「Azure Databricks Notebook」「Jupyter Notebook」いったPython開発環境と統合する。さらに、このSDKでは、開発者の自由度を高めるため、多種多様な機能が利用できるようになっている。例えば、モデルの構築や、トレーニングの高速化が可能なGPUを利用した分散ディープラーニングや、Azureでの高速な画像分類、認識を実現する強力なFPGAへのアクセスなどが含まれる。

 Azure Machine Learningへの統合が進められている自動機械学習機能について、MicrosoftのAIプラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデントを務めるエリック・ボイド氏は次のような見通しを示した。

 「自動機械学習の一環として、機械学習モデルの選択や、モデルのパフォーマンスを左右するハイパーパラメーターのチューニングを自動的に行う機能のおかげで、より幅広い顧客がAI開発に取り組めるようになるだろう」

 さらに同氏は、「機械学習の専門家であるデータサイエンティストにとっても、この機能は便利だ。データサイエンスにおける退屈な作業の多くを自動化してくれるからだ」と付け加えた。

 例えば、ハイパーパラメーターのチューニングの自動化は、(1)ハイパーパラメーターがさまざまな方法でチューニングされた幾つかのモデルを、ユーザーの新しいデータセットに対して実行する、(2)それぞれのパイプラインの予測精度を学習する、(3)その情報を踏まえて次の一連の提案を行う——というプロセスを数百回繰り返すことで実現しているという。