読者の中には、「Android 4.0」、通称「Ice Cream Sandwich」をすでに使いこなしている人もいるだろう。だが、あまりのんきに構えていないほうがよさそうだ。事情通の「DigiTimes」サイトが台湾のサプライチェーン・メーカーから仕入れた情報として、Googleがタブレットに適したAndroidの最新バージョンを2012年第2四半期にリリースすると報じている。同バージョンのコードネームは「Jelly Bean」だという。
現時点での最新版であるIce Cream Sandwichはリリースされたばかりだが、どうやら来たる「Windows 8」の発売がGoogleを刺激し、OS発表スケジュールを早める気にさせたら
しい。DigiTimesはまた、Android 4.0の普及が思ったほど進んでいないこともアップデートの動機となっていると指摘したが、大半のAndroid携帯電話すらIce Cream Sandwichをまだ採用できておらず、Motorola
などの端末メーカーによるアップグレードが大幅に遅れている現状を鑑みるに、今回の次期OSへの移行は不意打ちといってもよいのではないだろうか。「リリースのサイクルをもう少し緩めてはどうか」と提言したいのは筆者だけではないだろう。
とはいえ、われわれの準備が整っていようといまいと、あるいは件の噂が真実であろうとなかろうと、Android 5.0 Jelly Beanには実に魅力的な機能が搭載されるとの話だ。
■待望の「Chrome」統合が現実に
Googleはいまだ、Chromeの真の可能性を完全には生かしきれていない。同社が(愚かにも)ネットブックに執着しているせいで、Chrome OSの発展は著しく阻害されている。同社製ネットブックは
「Chromebook」と名付けられ、飛行機内で貸し出されるノベルティと化した。だが、Android
Jelly Beanならこうした現状を打破できる可能性がある。
先日「Chrome for Android」がリリースされたことで、GoogleもようやくChrome OSに本腰を入れるつもりになったのかと筆者は感じた。Android 5.0 Jelly BeanがChromeを一製品としてほんとうに成り
立たせるものであるならば、GoogleはChrome OSをモバイル・デバイスへ移植し、デスクトップやタブレット、スマートフォンの間での同期を実現し、さらにはゲームやオフィス・ソフトといったChromeブラウザの豊富なアプリ・ラインアップを十分に活用していくはずだ。あるいは、Androidの断片化状態を解消し、Androidブランドそのものを抹消したうえで、Chromeを同社の看板OSとして利用し始めることも考えられる。
■Windows 8のデュアル・ブート仕様
DigiTimesの記事は、Android 5.0 Jelly Beanに2種類のモデルが用意される可能性も示唆している。Google版とMicrosoft版の2種類だ。同記事によると、各ブランド・ベンダーは「Android 5.0のみを選ぶか、Windows 8デバイスに
Android 5.0を追加することができ、後者の場合はコンピュータをシャットダウンせずに2つのOSを切り替える機能を利用できる」という。
Windows 8の最大の魅力の1つは、その柔軟性にある。タブレットからスマートフォンへ、もしくはゲーム機などへスイッチし、再び元のプラットフォームへ戻れるのである。こうしたミックス体制にGoogle製品までをも加えられれば、Microsoftが間もなく放つ次期WindowsはとんでもなくエキサイティングなOSになるだろう。筆者も愛用の「iPhone」と永遠におさらばすることになるかもしれない。