2018年7月13日金曜日

Microsoft、「Slack」対抗の「Teams」を無料で提供開始 日本でも

 米Microsoft712日(現地時間)、これまで「Office 365」で提供してきたコラボレーションツール「Microsoft Teamsの無料プランの提供を開始した。日本語を含む40カ国語で利用可能だ。

 

 Teamsは、Microsoft2016年に発表したチームコラボレーションツール。Slack対抗とみられている。

 

 利用するには、サインアップページでのMicrosoftアカウント、「勤務先の電話番号」「会社名」「会社の規模」「国または地域」の入力が必要だ。会社の規模として1人も選べるので、フリーランスでも利用可能だ。

 

 無料版でもメッセージ数と検索に制限はなく、ゲストによるアクセスも可能。最大300人までが参加できる。有料版にあって、無料版で使えない機能は、以下の通り。

  • Exchangeによるメールホスティングと独自のメールドメイン
  • OneDriveSharePointPlannerYammerなどのOffice 365のサービス
  • あらかじめスケジュールを設定した会議
  • Microsoft Steamでの会議の録画・録音
  • 電話での通話と電話会議

 

 また、ファイル用のストレージが1人当たり2GBで、共有ストレージは10GBだ。データの転送と保管は有料版同様に暗号化される。

 

 ライバルのSlack無料版は、検索可能なメッセージは1万件までで、ファイル用ストレージは5GB、ゲストアカウントはない。

 

 Microsoftによると、Teamsは現在、181市場で20万以上の企業が活用しているという。

ソフトバンクとfreeeがRPA普及で協業 会計/人事・労務クラウド向けRPAロボットを共同開発

 ソフトバンクとfreee201879日、企業の会計、人事・労務における煩雑な手作業を自動化するRPARobotic Process Automation)ロボットを共同開発したと発表した。

 今回、両社は、中小企業や個人事業主をはじめとした企業のバックオフィス業務でのRPAロボット活用を推進するため、協業を開始。連携施策の第1弾として、ソフトバンクのRPAソリューション「SynchRoid(シンクロイド)」を活用して、freeeが提供する「クラウド会計ソフト freee」および「人事労務 freee」向けのRPAロボットを共同開発した。ユーザーの業務効率化や生産性向上に貢献するツールとして、freeeの両サイトで提供を開始する。

 
「クラウド会計ソフト freee」「人事労務 freee」でRPAロボットを提供

 今回、提供を開始するのは、クラウド会計ソフト freee向けの「口座の一括登録・変更」や、人事労務 freee向けの「従業員情報の一括登録」など、20業務のRPAロボット。

 これらを利用することで、ユーザーは追加でシステム開発を行うことなく、登録作業や他のツールとの連携などを自動化できるようになり、業務負担を軽減できるという。

 
SynchRoid×freee」連携第1弾として開発したRPAロボット例

 両社は、引き続きRPAロボットの開発と提供を進め、業務ニーズに合わせてRPAロボットを柔軟に利用できるプラットフォームを構築していく。また、RPAによる業務効率化の効果を周知するため、RPAソリューションの活用セミナーを共催する予定。SynchRoidRPAロボットとfreeeの連携による自動化ソリューションについて、20187月から8月にかけて、全国キャラバンセミナーWebセミナーを開催する。

 

少ない学習データでも機械学習の効果を高める、NECが機械学習向け技術を開発

 NEC2018710日、学習用のデータ量が十分に得られていない段階からでも機械学習を活用可能とする技術を開発したと発表した。これらの一部は、NEC-産総研 人工知能連携研究室、国立情報学研究所、科学技術振興機構、統計数理研究所、Max Planck Institute for Intelligent Systemsとのオープンイノベーションによって得られた成果である。

 最近はディープラーニングをはじめとする機械学習技術の利用が進んでいる。ただこれまでの機械学習技術では、その効果を十分に得るには多くの学習データが必要だった。NECが開発した技術は、学習データが少ない場合の機械学習効果を高めるもので、データ収集の初期段階やデータ収集コストが高い環境のように、十分な学習データが得られない状況でも、機械学習技術を活用できるという。

 NECが開発した技術は、大きく分けて次の3つ。

 
各技術の特徴

専門知識を持つ人のノウハウを取り入れて、学習効率の高いデータを能動的に収集して学習する技術

 1つ目は、専門知識を持つ人の物事の因果関係に関するノウハウを数値化して活用する技術。例えば、肥料の成分と植物育成の関係など。これによって学習効率の高いデータを能動的に収集して学習するため、収集データが少なくても十分に学習させられるという。

収集したデータと、実世界で起きている事象の複数シミュレーション結果の類似度に基づいて、パラメーターを自動的に繰り返し修正して正しいパラメーターを推定する技術

 2つ目は、パラメーター値の異なる複数のシミュレーション結果の類似度に基づいてパラメーター値を繰り返し修正し、正しいパラメーター値を推定する技術。複雑なシミュレーションを行うには多数のパラメーターが必要で、実データに合わせてパラメーターを正しく調整する必要がある。だが、実データが少なく、初期パラメーターをどのような値に設定したらよいか見当がつかないと、従来の技術では実データに合うようなパラメーターを推定できず、正確なシミュレーションは難しかった。

機械学習の分析結果に基づく意思決定時に、収集データを学習用と効果評価用に分割した複数パターンで効果を見積もり、少数データの偏りに影響されにくい意思決定を可能にする技術

 3つ目は、収集したデータを学習用と効果評価用に分ける際に、データが偏りにくくする技術。一般に機械学習技術では、収集したデータの一部を効果評価用にし、残りのデータで学習させる。収集したデータが少ないと、学習用と効果評価用に分ける際に偏りが生じてしまい、学習効率が落ちることがあった。NECは、収集したデータを学習用と効果評価用に複数の分割パターンを準備し、それぞれの効果評価結果を平均して、より正確に効果を見積もれるようにした。

 

2018年7月12日木曜日

擬似逆行列

ムーア-ペンローズの擬似逆行列(ぎじぎゃくぎょうれつ、pseudo-inverse matrix)は線型代数学における逆行列の概念の一般化である。擬逆行列一般化逆行列一般逆行列generalized inverse)ともいう。また擬は疑とも書かれる。

連立一次方程式の解を簡潔に表現するものとして逆行列の概念は重要であり、逆行列を持つ行列は、可逆あるいは正則であると言われる。正則でない行列の場合にも逆行列のような都合のよい行列として擬逆の概念を導入する。ロボット工学に関していうならば、動特性の同定や冗長ロボットの制御などで良く用いられている。

目次

  [非表示

·         1

·         2

·         3

o    3.1スカラ

o    3.2ベクト

o    3.3列が線形独立である場

o    3.4行が線形独立である場

o    3.52次正方行

·         4参考文

·         5関連項

定義[編集]

m × n 行列 A に対し、A 随伴行列(複素共軛かつ転置行列)を A* とするとき、以下の4条件を満足する n× m 行列 A+ はただ一つ定まる:

·         A  A+ は互いに広義可逆元である:

·         {\displaystyle AA^{+}A=A,}

·         {\displaystyle A^{+}AA^{+}=A^{+}.}

·         A A+ および A+A エルミート行列である:

·         {\displaystyle (AA^{+})^{*}=AA^{+},}

·         {\displaystyle (A^{+}A)^{*}=A^{+}A.}

この行列 A+  A 擬似逆行列と呼ぶ。A が正則でなくとも A+ は定まるが、A が正則ならば逆行列 A−1 はこの条件を満たす。ゆえに擬似逆行列の概念は逆行列の概念の一般化を与えていることがわかる。

性質[編集]

擬似逆行列は以下のような性質を持つ。

·         {\displaystyle (A^{+})^{+}=A}

·         {\displaystyle (A^{T})^{+}=(A^{+})^{T},(AA^{T})^{+}=(A^{+})^{T}A^{+}}

·         {\displaystyle \operatorname {rank} A=\operatorname {rank} B=n\implies (AB)^{+}=B^{+}A^{+}}

·         {\displaystyle A^{+}=(A^{T}A)^{+}A^{T}=A^{T}(AA^{T})^{+}}

·         {\displaystyle m\times n} 行列 A に対して

{\displaystyle \operatorname {rank} A=m\implies A^{+}=A^{T}(AA^{T})^{-1}}

{\displaystyle \operatorname {rank} A=n\implies A^{+}=(A^{T}A)^{-1}A^{T}}

·        A 特異値分解 {\displaystyle A=U\Sigma V^{T}}とすると、

{\displaystyle A=U\Sigma V^{T}\implies A^{+}=V\Sigma ^{+}U^{T}}

が成立する。 {\displaystyle \Sigma ^{+}} の成分は {\displaystyle \sigma _{ii}^{+}}{\displaystyle \Sigma } の成分は {\displaystyle \sigma _{ii}} とすると、 {\displaystyle \sigma _{ii}^{+}={\frac {1}{\sigma _{ii}}}} である。)

·         {\displaystyle m\times n} 行列 {\displaystyle A} に対して

·      n 次正方行列 {\displaystyle A^{+}A} は、{\displaystyle A} 零空間直交補空間 {\displaystyle (\ker A)^{\bot }}への直交射影である。

·      n 次正方行列 {\displaystyle I_{n}-A^{+}A} は、{\displaystyle \ker A} への直交射影である。

·         {\displaystyle A}{\displaystyle m\times n} 行列とする。連立一次方程式 {\displaystyle Ax=b} に対して

·      方程式が解を持つとき
{\displaystyle k}を任意の{\displaystyle n}次元列ベクトルとして、すべての解は{\displaystyle x=A^{+}b+(I_{n}-A^{+}A)k}と表せる。ノルム {\displaystyle \|x\|}が最小の解は{\displaystyle A^{+}b} で与えられる。{\displaystyle A} が正則なら{\displaystyle A^{+}=A^{-1}}で、ただ一つの解を持つ。

·      方程式が解を持たないとき
前述の {\displaystyle x} {\displaystyle \|Ax-b\|^{2}}を最小にするベクトル(最小2乗解)である。

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スカラー[編集]

スカラーの場合にも擬似逆行列を定義できる。スカラーを行列として扱うことになる。λ 0ならば、その擬似逆行列は0であり、λ がそれ以外の数ならば、 その擬似逆行列は λ の逆数になる:

{\displaystyle \lambda ^{+}={\begin{cases}0&(\lambda =0),\\\lambda ^{-1}&(\lambda \neq 0).\end{cases}}}

ベクトル[編集]

零ベクトルの擬似逆行列は転置された零ベクトルである。零ベクトルでないベクトルの擬似逆行列はそのベクトルの大きさの2乗で割られた、随伴ベクトルである:

{\displaystyle x^{+}={\begin{cases}0^{*}&(x=0),\\(x^{*}x)^{-1}x^{*}&(x\neq 0).\end{cases}}}

列が線形独立である場合[編集]

{\displaystyle A} の各列が線形独立(このとき {\displaystyle m\geq n} である)ならば、{\displaystyle A^{*}A} は可逆である。この場合、擬似逆行列は次のようになる:

{\displaystyle A^{+}=(A^{*}A)^{-1}A^{*}}.

これから {\displaystyle A^{+}}  {\displaystyle A} の左逆元であることがわかる: つまり {\displaystyle A^{+}A=I_{n}}.

行が線形独立である場合[編集]

{\displaystyle A} の各行が線形独立(このとき {\displaystyle m\leq n} である)ならば、{\displaystyle AA^{*}} は可逆である。この場合、擬似逆行列は次のようになる:

{\displaystyle A^{+}=A^{*}(AA^{*})^{-1}}.

これから {\displaystyle A^{+}}  {\displaystyle A} の右逆元であることがわかる: つまり {\displaystyle AA^{+}=I_{m}}.

2次正方行列[編集]

2次正方行列

{\displaystyle A={\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}}}

の擬似逆行列は {\displaystyle ad-bc\neq 0} のとき、

{\displaystyle A^{+}=A^{-1}={\frac {1}{ad-bc}}{\begin{pmatrix}d&-b\\-c&a\end{pmatrix}}}

である。 {\displaystyle ad-bc=0} のとき、 {\displaystyle A\neq O} のときは

{\displaystyle A^{+}={\frac {1}{|a|^{2}+|b|^{2}+|c|^{2}+|d|^{2}}}{\begin{pmatrix}{\bar {a}}&{\bar {c}}\\{\bar {b}}&{\bar {d}}\end{pmatrix}}}

となる。 {\displaystyle A=O} のときは

{\displaystyle A^{+}=O={\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix}}}

である。

参考文献[編集]

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。20163月)

·         「ロボット制御基礎論」(著者:吉川恒夫)

·         Harville, David A (1997). Matrix algebra from a statistician's perspective. Springer-Verlag. ISBN 0-387-94978-XMR 1467237Zbl 0881.15001.

·         岩井斉良 『基礎課程線形代数』 学術図書出版社、1995年。ISBN 978-4-87361-194-5

関連項目[編集]

·         線型代数学逆行列

·         逆元(半群における擬逆性)