近年Oracleはクラウド対応を進めています。オンプレミスのOracle Databaseと同じように、クラウドでもハイブリッドクラウドでも使えることを強みとしてアピールしています。Microsoftの「Data Everywhere」とは同じではないものの、オンプレミスからクラウドへの移行、あるいはハイブリッドクラウドで使いやすいことを重視しているという点では共通しています。
2017年のOracleといえば最も印象深いのは、10月のOracle OpenWorld 2017で発表された「Oracle 18c Autonomous Database」です。この名称には、次のバージョンを示す「18c」と、「自律的」を意味する「Autonomous」が入っています。同社のラリー・エリソン氏は「完全な自動運用」と豪語したようですが、どこまで自動化できるのか興味津々です。
大事なポイントとなるのが、「Oracle 18c Autonomous Databaseでは、次期版のOracle DatabaseをOracle Cloudで稼働させることによって、高度な自律性を実現できる」ということです。Oracle Database 18cだけ、つまりオンプレミスでは全ての自律的な機能を享受できません。高いSLAや自動的な運用は、次期版のOracle DatabaseとOracle Cloudを組み合わせることで実現できる世界です。
2017年12月に日本オラクルが開催したOracle CloudWorld Tokyoで、オラクル・コーポレーションのアンドリュー・メンデルソン氏が詳細を解説しました。
オラクル・コーポレーション オラクル・サーバー担当 エグゼクティブ・バイスプレジデント アンドリュー・メンデルソン氏
Autonomousは基本的には既存の自動化機能を自動化することで実現していくようです。
Oracle Databaseには既にリソース管理やチューニングなどで「自動〜〜」と名の付く機能が多く存在します。例えば「Oracle自動ストレージ管理(Oracle ASM)」などです。ただしこうした機能をキックするのは運用管理者です。人間が、機能を理解し、必要なタイミングで実行または有効化してきました。こうした自動化機能を、Oracle Cloudでさらに自動的に機能させることで、「Autonomous(自律型)」を実現していくようです。
今後は段階的に、Oracle Cloudで「Oracle 18c Autonomous Database」が提供されていくようです。まずはデータウエアハウス向け「Autonomous Data Warehouse Cloud」が2018年1月終盤に登場ということなので、近々となりそうです。メンデルソン氏の説明では分析のワークロードを自動で最適化し、チューニングやパーティション作成が不要になるとのことです。
その先にはOLTP処理に対応した「Autonomous OLTP and Mixed Workload Cloud」が提供される予定です。データウェアハウスに比べ、OLTPやワークロード混在環境では、自動化のハードルが格段に高くなります。こちらは恐らく提供開始まで半年以上は待つことになりそうです。
運用管理を経験するとよく分かることですが、データウェアハウス(分析)とOLTPではチューニングですべきことが異なるのです。正反対といってもいいくらいです。将来的には完全自動化を目指すとしても、現段階では利用状況や目的に合わせた自動化を実現していくことになるでしょう。
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