中国のファブレス半導体企業であるSpreadtrum Communicationsは、Androidスマートフォン向けに、低価格のハードウェアプラットフォームを2種類発表した。40nmプロセスで製造されたもので、40〜50米ドルという超低価格のスマートフォンに向ける。
Spreadtrumが発表したのは、中国国内向けの3G(第3世代)携帯電話通信規格であるTD-SCDMA(Time Division - Code Division Multiple Access)に対応した「SC8805G」と、EDGE/Wi-Fiに対応した「SC6810」の2種類である。いずれもハードウェアのリファレンス設計の他、コンプライアンステスト済みのソフトウェアも同梱する。Spreadtrumは、「これらのプラットフォームを採用すれば、製品化までの時間を短縮できる」と述べている。SC8805G/SC6810はAndroid 2.2に対応し、動作周波数が600MHzの「ARM9」プロセッサを搭載している。また、2次元(2D)グラフィックス機能、5Mピクセルのカメラ、MPEG4に対応したデコーダ/エンコーダ、解像度がHVGA(Half-VGA)のタッチスクリーン液晶ディスプレイを備える。接続機能のオプションには、Wi-Fi、GPS、FM、テレビ放送、Bluetoothなどがある。
Spreadtrumによると、既にChina Mobileが、SC8805G/SC6810で設計したスマートフォンの動作試験を完了しているという。まもなく、同プラットフォームを搭載した低価格スマートフォンが、十数社の携帯電話機メーカーから発売される見通しだ。そのうち数社は、2011年12月中にも販売を開始するとみられる。
China Mobileは、「2012年に、TD-SCDMA対応のスマートフォンを3000万台以上売り上げることが目標だ」としているが、その大半を低価格スマートフォンが占めると予想される。
Spreadtrumでプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるLeo Li氏は、「当社が持つ40nmプロセスのベースバンドプラットフォーム関連の専門知識と、高度に統合されたシステムを組み合わせ、できる限りコストを低減した。これによって、中国や新興国市場のユーザーは、スマートフォンを入手しやすくなるだろう」と述べている。
SC6810は、3G 携帯電話機がまだ開発段階にあり、EDGE/Wi-Fiによる通信が大部分を占める市場向けに設計されている。Spreadtrumは、「モバイルネットワークとWi-Fiを容易に切り替えられるため、ユーザーはデータの利用に応じて通信方式を選択できる」と説明している。
Li氏は、「スマートフォンにおける2G(第2世代)/3G通信事業は堅調が続いている。プラットフォームの価格を下げることで、中国や新興国市場におけるスマートフォンの利用をさらに拡大できると考えている」と述べる。
Androidは、低価格のスマートフォンで中国市場への参入を狙うメーカーを大きく後押ししている。Androidが登場していなければ、最もローエンドのスマートフォンでも100米ドルを下回ることはなかっただろう。
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