2011年12月1日木曜日

“本当の”iPhoneは1台でモバイルルーターにもなる

 実は、日本のiPhoneユーザーはある機能の使用が制限されている。海外で販売されているiPhone4Sは無線LANの親機となるテザリング機能が、買った時から標準装備されている(iOSが4.3以降にアップデートされていればiPhone4でもテザリング機能が使える)。
 このテザリング機能を使えば、iPhoneがモバイルルーターとしても機能する。つまり、無線LAN機能を備えたノートパソコンやタブレット端末、更にゲーム機などをいつでもどこでもインターネットに接続できるようになる。
 ところが、ソフトバンクとauが販売するiPhoneはSIMロックされているだけでなく、この便利なテザリング機能も封印されている。そのためモバイル環境でネット接続が必要な人は、別途モバイルルーターのための出費も余儀なくされている。
 SIMロックを外してしまうと、他の通信キャリアのSIMカードが使えるので顧客を囲い込めなくなる。通信キャリアの収益を安定させるため、供給者側の論理で導入されているものだ。
 では、なぜテザリング機能もロックしているのだろうか。ソフトバンクに聞いてみると「通信品質を保つため」との答えが返ってきた。どういうことかと言うと、モバイル環境で大量のデータ通信を行うヘビーユーザーが数%いて、そのような人がiPhone経由で大量のデータ通信をしてしまうとその他の利用者の通信に悪影響を及ぼしてしまう。だから一部のヘビーユーザーの行動を抑制するためにすべてのiPhoneユーザーのテザリング機能をオフにしているのだという。
 そのようなヘビーユーザーはどこの国でもいるようで、米国ではデータ通信サービスの定額制が徐々に崩れてきている。いずれにしても、外出時でもネット接続が必要な人はiPhoneを持っていても、各通信キャリアが提供しているモバイルルーターを利用しなければならない。
 モバイルルーターを活用するにはいくらかかるのか。代表的なイー・モバイルのポケットWiFiシリーズを見てみよう。同社は現在、2年契約すれば最新のモバイルルーターを月額3880円で使える高速モバイルキャンペーンを展開している。端末代金は無料で提供しているので、月に3880円支払えば外出時でもネットがつなぎ放題だ。とは言え、2年間の総費用は9万3120円かかってしまう。
 仮にauで新たにiPhone4Sを契約した人がイー・モバイルのモバイルルーターも併用したとすると、2年間の合計費用は最低でも24万3720円(=15万600円+9万3120円)かかる計算となる。ソフトバンクのiPhone4Sと併用する場合、最も安い組み合わせでも22万240円(=12万7120円+9万3120円)となる。
 繰り返しになるが、今回の料金比較で前提としているのはデータ通信のみが定額サービスであること。音声通話に関しては、無料通話の範囲を超えれば30秒に付き21円ずつ従量課金されるので、実際の出費はこれ以上となる。

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