複数の関係者によると、11月中旬にドコモの山田隆持社長と辻村清行副社長らが訪米し、アップル本社でティム・クックCEO(最高経営責任者)らと会談。次世代iPhoneと次世代iPadの販売で基本合意し、販売数量などの条件について本格的な交渉を開始した。
アップルはドコモにiPhoneやiPadの販売権を与える条件として、ドコモが昨年12月に商用化したLTEネットワーク(サービス名は「Xi(クロッシィ)」)に対応させることを要求し、ドコモがこれに応じたもようだ。アップルがiPadとiPhoneにLTEの通信機能を搭載するのは、今回が初めて。
LTEは現行の第3世代携帯電話に比べ通信速度が5倍以上あり、インターネット上の動画コンテンツなどをスムーズに閲覧できる。ドコモは昨年12月にパソコン向けのデータ通信カードでLTEサービスを開始。今年11月24日には同社初のLTE対応スマートフォン「ギャラクシーSII LTE」(韓国サムスン電子製)を発売している。
LTEは次世代の携帯電話技術の本命と目されており、国内外の携帯電話会社がそれぞれ導入を急いでいる。国内ではKDDIやソフトバンクモバイルも導入計画を公表しているが、今回はライバルに先駆けてLTEを商用化したドコモの取り組みがアップルに評価された形だ。
国内販売開始から3年が経過した今も、iPhoneは携帯電話市場全体に大きな影響力を持っている。KDDIとソフトバンクモバイルが最新版のiPhone4Sを発売した10月、ドコモの純増数(新規契約から解約を差し引いた値)は大手3社の中で最下位に転落。これまで強みを持ってきた法人市場でも、iPadを武器に攻勢に出るソフトバンクモバイルに顧客を切り崩されつつある。こうした営業不振に対する焦りが、ドコモがアップルとの交渉を急ぐ背景となったようだ。
大手3社が横並びでiPhoneを取り扱うことで、端末面での差別化は難しくなる。そのため、今後は通信速度やつながりやすさといったネットワーク品質と、通信料金が携帯電話会社の競争力を左右することになりそうだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿