2017年6月23日金曜日

加熱する米中「スーパーコンピュータ戦争」 米政府は280億円出資

スーパーコンピュータ(スパコン)の開発を巡る国際競争が激化している。

米国エネルギー省(DOE)は6月15日、エクサスケール・スパコン開発プロジェクトの一環として、AMD、クレイ(Cray)、ヒューレット・パッカード(HPE)、IBM、インテル、エヌビディア(NVIDIA)の6社に対し、2億5800万ドル(約287億円)の資金援助を行うことを明らかにした。資金は、今後3年間に渡って提供される。

エクサスケール・スパコンは、浮動小数点演算を1秒間に100京回(1兆の100万倍)行うことができる。プロジェクトの総費用は4億3000万ドルを超える見通しで、この内最低でも40%を6社が負担することになる。DOEは、2021年までにエクサスケール・スパコンを1台完成させ、2023年までに少なくとも2台の運用を目指している。

現在、米国で最速のスパコンはオークリッジ国立研究所の「タイタン(Titan)」だ。世界最速は中国の「神威太湖之光(Sunway TaihuLight)」で、世界で初めて100ペタフロップスを突破し、124.5ペタフロップスの理論最大性能を実現した。興味深いことに、このスパコンに使われているCPUは、全て中国が独自開発したものだ。米政府は中国に対抗するため、2015年にインテルが最新チップを中国のスパコンプロジェクト向けに供給することを禁止した。

中国政府は10年で18兆円を投資

中国の半導体産業はまだ発展途上だが、中国政府は国際競争力を高めるために、今後10年間で1610億ドル(約18兆円)を投じる計画を発表している。

中国は米国を追い抜き、世界初のエクサスケール・スパコンの開発を目指している。中国は、1月にプロトタイプの運用開始が間近であることを発表しており、完成予定は2020年を見込んでいる。

エクサスケール・スパコンは、経済予測や気候調査など、極めて複雑な計算が必要な分野での活用が期待されており、各国は、優れたスパコンの開発を国家戦略上の重要課題と位置付けている。

「米国が高性能コンピューティングの分野におけるリーダーであり続けることは、国家の安全や繁栄、経済競争力の観点から極めて重要なことだ。今回の資金援助によって、米国のテクノロジー企業が持つ技術力や専門性、リソースを集結させ、次世代のエクサスケール・スパコンの開発競争において優位に立つことができる」とDOEのリック・ペリー(Rick Perry)長官は述べている。

オバマ前政権は、2015年にエクサスケール・スパコンの開発を初めて宣言し、2023年の開発を目指していた。今回の資金援助により、完成予定が2021年に早まることになる。

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