IBMは2017年12月14日(米国時間)、同社の20量子ビット汎用量子コンピューティングシステム「IBM Qシステム」を、特定の組織を対象にクラウドで利用可能にするネットワーク「IBM Q Network」を新たに設立した。同ネットワークには、JPMorgan Chase、Daimler、Samsung Electronics、JSR、Barclays、日立金属、本田技術研究所、長瀬産業の他、教育機関から慶應義塾大学、オークリッジ国立研究所、オックスフォード大学、メルボルン大学の計12組織が参加。量子コンピューティングの進化を目標に、IBMと連携する。
IBMは既に、実働する量子コンピューティングプロセッサとしては初となる50量子ビットのプロトタイププロセッサを構築。アクセス権をメンバーに提供する予定だ。次世代のIBM Qシステムにも、同プロトタイププロセッサを活用する。
IBM Q Networkのメンバーは、IBMの技術者と連携し、特定の業界向けに量子コンピューティングの活用分野を開拓する。例えば、JSRは、量子コンピューティングを生かしたエレクトロニクス、環境、エネルギーの新素材開発の可能性を探索する。IBMは、コンサルタントや技術者、業界の専門家集団による「IBM Qコンサルティング」を提供し、顧客の量子コンピューティング技術の活用をサポートするという。
IBM ResearchでAIおよびIBM Q担当バイスプレジデントを務めるDario Gil氏は、「IBMは、今後数年間を『商用量子コンピューティング時代の幕開け』と考えている。顧客と緊密に連携し、量子コンピューティングが、あらゆる規模の金融サービス、自動車、化学などの業界に適用可能になり、これまで解決できなかった問題に対処できるよう、協力して探求を始めた。量子コンピューティングのメリットを生かせる分野を発見し、商業的、学術的、社会的に将来の利益につながる道筋を得られるだろう」と述べている。
IBMは、量子コンピューティングシステムを容易に利用できるようにする取り組み「IBM Q Network ハブ」も開設する。IBM Q Network ハブは、IBM Qシステムをオンラインで使用可能にし、量子コンピューティングの学習やスキル開発、実装を促進する。米国のIBM Research、慶應義塾大学、米国のオークリッジ国立研究所、英国のオックスフォード大学、オーストラリアのメルボルン大学に設置されるという。
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