忘年会のシーズン。飲み代を割り勘する際に、友人や同僚と金銭のやりとりをすることが増えるが、両替が必要だったり、うっかり手持ちがなかったり、何かと面倒なことが多い。そんな"現金のストレス"を軽減してくれるアプリが「Kyash」だ。
Kyashでは、スマートフォン上で作成したクレジットカード(Visaブランドのバーチャルカード)を使って個人間送金ができる。手持ちのクレジットカードを登録すれば、Kyashの残高が足りない状態で送金しようとしても、不足分が自動で充当される。最初は残高0円なので、その状態で送金するには手持ちのクレジットカードを登録する必要がある。
同じKyashアプリを使っている人同士はもちろん、LINEやFacebook Messenger経由でも送金できるので、Kyashを使っていない人にも送れる。送金されてたまったお金は、Visaのクレジットカードとして使用でき、オンライン決済やモバイルSuicaへのチャージができる。
そんなKyashの利用動向と今後の展開を、Kyashの鷹取真一社長が12月13日に説明した。なお、この説明会では実店舗での支払いを可能にするサービスとの連携が発表される予定だったが、「急きょ(サービス提供元の)本国からストップがかかった」(鷹取氏)ため、この場での発表は見送りになった。
Kyashアプリは20万ダウンロードを突破
Kyashは2017年4月にiOS、7月にAndroid向けアプリをリリース。ユーザーは右肩上がりで伸びており、12月時点で累計ユーザー数は20万を超えている。鷹取氏によると、OS別の比率ではiOSが約7割、Androidが約3割とのこと。
11月にユーザーアンケートを取ったところ、Kyashを知ったきっかけは「友達に勧められて」の24.9%が最多で、口コミで広がっている様子が見て取れる。ユーザー層は20〜30代(58.3%)が最多で、男女比は男性と女性で7:3だった。鷹取氏は「10代の利用意向も高い」と話し、若年層ほど抵抗感なく使いこなしているようだ。「若年層はあまりお金を持っていないので、ATMで手数料を支払うのがもったいないと思う人が多い。2000円貸して、といったやりとりも、Kyashなら簡単にできる」(同氏)
送金や請求した額で最も多かったのが、1001円〜5000円の48.8%で、平均は2000〜3000円ほど。主な用途は飲み会やランチでの割り勘、友達や同僚との貸し借り、おつかい、旅行費用の立て替え。変わったところでは、金額を決めずに参加費を支払うケースや、仕送りやご祝儀などに使われることもあるそうだ。
Kyashを使ったことで、「(飲み代などの)集金漏れが減った」「小銭を使う機会が減った」「ATMの手数料がいらなくなった」などのメリットを感じる人が増えているという。こうした「お金に関するストレスが減った」ことが、大きな成果となっている。
個人間送金やオンライン、店舗での決済ができるサービスは「LINE Pay」も同様だが、前払式支払手段を用いるKyashは、利用にあたって本人確認が不要なので、手軽に使える。「1分で登録完了」という説明は大げさではなく、ユーザー満足度90%という高い数字もうなずける。
コンビニや銀行口座からのチャージにも対応
個人間送金をする際、ユーザーに手数料は一切かからない。ではKyashはどのように収益を得ているのかというと、オンライン決済が発生すると店舗から決済手数料が支払われ、これが収益となる。つまりKyashがもうかるには、ユーザーにどんどんオンラインで買い物をしてもらう必要があるが、その原資となるお金をためるには、ユーザーからの送金が必要。個人間送金を増やすことは、Kyashが成長するための重要なミッションといえる。
さらに、コンビニエンスストアと銀行からのチャージにも近日中に対応する。コンビニはローソン、ファミリーマート、ミニストップなど国内約3万5000店、銀行はメガバンクを中心に国内1180の金融機関が対応する。チャージは、Kyashアプリで「リクエスト」を作成し、その後コンビニなら専用端末で申込書を作成してレジで支払い、銀行ならATM端末などから納付すれば可能。
現在は、登録したクレジットカードから不足分が自動チャージされる状態だが、手動でのチャージが可能になることで、より無理なく安心して使えそうだ。
実店舗決済の発表も間もなく?
冒頭でも触れた通り、Kyashにたまったお金を使う場所として、今後はオンラインだけでなくオフライン(実店舗)での支払いにも対応させる。日本では既にさまざまな決済サービスが提供されているため「ゼロから開拓するのではなく、既存のインフラを活用する」(鷹取氏)形になる。クレジットカードとひも付いた実店舗でのモバイル決済サービスといえば、使っている方ならいくつか想像がつくと思う。正式発表を待ちたい。
LINE Payのように物理的なカードを発行することについては「発行はできるが、スマホで決済を完結させたい」(鷹取氏)とのことで、あくまでスマホをハブにしたサービスにこだわる。
コンビニと銀行でのチャージと、実店舗決済が、今後の新たな取り組みとなる
最近耳にする機会が増えた「キャッシュレス」という言葉は、主に店頭での支払いを指すものだが、「人と人とのお金のやりとりもキャッシュレス化していきたい」と鷹取氏。「友達から受け取るお金が電子的(キャッシュレス)なら、お店への支払いも電子的になる」と同氏は考え、Kyashを通じてキャッシュレス化を推進していく構えだ。
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