2012年4月6日金曜日

HTML5仕様に関する注目トピック

 HTML5とHTML 4の違いをまとめたドキュメントがアップデート(英語)(link

 以前のバージョンはだいぶ古くなっていたので、アップデートは嬉しい。 英語ですが、HTML5の新機能がコンパクトにまとまっているので、一読の価値あり。

■ CSS Values and Units Module Level 3がラストコールに(link

 この仕様における重要な機能を以下に挙げてみましょう。

  • rem・・・フォントサイズの単位ですが、従来のemが親要素に対する相対サイズだったのと異なり、ルート要素に対する相対サイズになります。よければ、ぼくが最近書いたブログエントリも参考になるかもしれません。
  • vw/vh/vmin・・・ビューポートの大きさに対する相対サイズです。vwはビューポートの幅の1%、vhは高さの1%、vminはvwとvhのうちの小さい方となります。ビューポートが変化すると、それに合わせて値が変化します。
  • calc()・・・CSSプロパティの値に、動的な計算結果を指定することができるようになります。例えば、画面中央に幅100pxのブロック要素を表示したい場合など、「画面の真ん中から50px左」という位置を指定したい場合があります。その際、「width: calc(50% - 50px)」などと指定できるわけです。
  • cycle()・・・継承されたCSSプロパティの値に応じて、実際のプロパティ値を切り替えられる機能です。inheritの動作を調整できる機能といってもいいでしょう。例えば、「em { font-style: cycle(italic, normal); }」とすると、emは基本的にイタリック表記となりますが、イタリックスタイルを継承している場合は通常のスタイルとなります。cycle()という名の通り、スタイルは繰り返し利用されます。例えば「ul { list-style-type: cycle(disk, circle, square); }」という指定が行われた場合、ulが入れ子で使用されると、リストの先頭が「黒丸→白丸→黒四角→黒丸...」という順序で変化していきます。
  • attr()・・・要素の属性値を参照して、CSSのプロパティ値として利用できます。

■ DOM⇔文字列のパースとシリアライズに関する仕様が登場(link

 文字列からDOMを生成するDOMParserや、その逆を行うXMLSerializerについての仕様です。innerHTMLなどについても触れられています。

■ DNT(Do Not Track)に関する仕様が公開(link

 最近Webのプライバシーに関する話題が非常にホットな中、DNTに対応したWebサイト作成についても、研究しておく必要がありそうです。

 DNTとは「Do Not Track」の略で、「DNT=1」というヘッダを含むHTTPリクエストを受け取ったサービスは、ユーザーの情報を追跡しないような挙動をすることが求められます。

 また、DNTについてよくまとめられた日本語記事として、以下の記事を紹介しておきます(via ZDNet)。

 DNTを意識したサイトが意識したサイトが今後増えれば、Webが今より安心・安全になることが期待されます。米国ではそのための法整備も検討されているとのこと「ネット上の行動追跡を拒否する「Do Not Track」システム、米当局が早期実現を要請」。

■ Navigation Timingが勧告候補に(link

 Webアプリのパフォーマンス測定に使用できる仕様が勧告候補に。 うまく使って、Webアプリのパフォーマンスを向上させる役に立てたいですね。

■ window.performance.now()が公開&ラストコール(link

 上記のNavigation Timingにも関連した仕様。performance.timing.navigationStartからの経過時間をミリ秒よりも高い精度で返します。公開とラストコールが同時なんて珍しいですが、メソッド1つだけの仕様ですしね。

■ RDFa関連の3仕様が勧告候補に(link

 RDFa Core 1.1, RDFa Lite 1.1, XHTML+RDFa 1.1の3つの仕様が勧告候補になりました。

 RDFaは、マイクロデータと同様に、属性を付与することで要素のデータ的な意味合いを指定することのできる、セマンティックWebに関連した仕様です。

■ CanvasにPathという新しいインターフェイスが追加(link

 Canvasのパス操作を容易にする新しいインターフェイス、Pathが提案されました。 現在よりもCanvasプログラミングが容易になることが期待できます。

■ Media Fragments URI 1.0(basic)が勧告案に(link

 Media Fragments URIというのは、URIクエリ(?以降、#以前の文字列)やURIフラグメント(#以降の文字列)を利用してメディアデータの再生条件などを細かく指定するための仕様です。

 例えば、「http://www.example.org/video.ogv?t=60,100#t=20」というURLは、サーバに対して60-100秒の動画を返すように要求し、ユーザーエージェントは先頭から20秒経ったところから再生を開始する、といった意味になります。

■ Web Audio APIのドラフトが公開(link

 Googleが提案した音声操作のAPIが、ドラフト公開にこぎつけました。

■ CSS3 Speechモジュールが勧告候補に。実装を呼びかけ(link

 Webページの音声読み上げに関するさまざまなプロパティを定義したCSS3モジュールが勧告候補になりました。 Webアクセシビリティの向上につながるものと思われます。

 jQuery Foundationが発足(link

 jQuery関連の開発を促進するための非営利団体が発足したそうです。今後も活発な開発が期待できますね。

■ 「Web先端技術味見部」という勉強会を始めます(link

 「渋谷発、世界一『速い』勉強会。」というスローガンのもと、「世界一キャッチアップが速い」勉強会を目指しています。少人数を旨とした勉強会ですので、すでに定員はいっぱい(ATNDでの告知ページ)ですが、ITmediaへのレポート掲載やUstreamなどでの情報共有に努めますので、乞うご期待! 良ければ上のFacebookページで「いいね!」を押してやってください。今後の情報発信は、基本的にhtml5j.orgのメーリングリストとFacebookページで行う予定です。

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