2018年1月9日火曜日

初めての純国産完全自動運転車「マイリー」の実力

 ライドシェアやパーソナルモビリティー──。2018年は、移動手段が大きく変わりそうだ。その実現のカギとなるのは、やはり「自動運転」だ。

 自動運転車は、過疎地などの交通サービスを担うほか、都市部ではこれまでタクシーを利用しなかった人にも移動の自由を提供できるようになると期待されている。

 12月中旬、愛知県は全国に先駆けて公道で「レベル4」の自動運転の実証実験を始めた。レベル4とは、運転席に運転手を乗せずに走る自動運転レベルだ。

 この自動運転車を開発した名古屋の企業で測量ソフトを手がけるアイサンテクノロジー、名古屋大学発ベンチャーで自動運転システムを開発するティアフォーなどは、完全自動運転の電気自動車(EV)「マイリー」を開発した。マイリーで目指すのは、ラストワンマイルのライドシェアなどの移動サービスだ。

 マイリーはハンドルもアクセルもブレーキもない。自動的に目的地まで移動するため、運転手は必要ないのだ。

「純国産の完全自動運転車はこれが初めて」

 とティアフォー創業者で東京大学大学院准教授の加藤真平さんは胸を張る。

 車体本体は、ヤマハ発動機が販売している4人乗りのゴルフカートをベースにした。車体のルーフトップには、自動運転のために周囲の環境情報を取得するセンサーがついている。ぽっこりとした流線形の外装は、3Dプリント事業のカブクが手掛けた。

「マイリーは、サービス事業者や自治体などが行う、移動サービス向けに開発をしました」

 と加藤さん。マイリーの走行速度は、時速10〜20キロ。過疎地や山間部などの特定の地域内で、目的地が同じ複数の人たちが乗り合う移動サービスを想定している。18年には、愛知県内の自治体と共同で、私有地や公道を走行する実証実験を行う計画だ。

●ちょっと移動したいとき

 見据えるのはそれだけではない。自動運転によって、都市部での移動サービスも大きく変動すると考えている。

「アメリカでは、『ウーバー』のようなライドシェアのサービスがはやっても、既存のタクシー業界の売り上げはそれほど落ちなかったんですね。お客さんがライドシェアに流れたんじゃないんです。これまでタクシーを利用していなかった人たちも、移動サービスを使うようになったんです。例えば1〜2キロちょっと移動したいというときにタクシーは利用しにくいが、自動運転の移動サービスなら使いやすいというふうにしていきたい」(加藤さん)

 一般のドライバーが利用者を運ぶ「ライドシェア」は、日本でも規制を緩和する国家戦略特区で始まりつつある。自動運転によるライドシェアであれば、より効率的で使い勝手がよくなる。自動運転によって、潜在的な移動ニーズが掘り起こされ、多くの人たちが移動しやすくなりそうだ。

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