卒業までにすべての生徒が英語検定(英検)「準1級」に合格することを目標に掲げている女子校がある。東京にある品川女子学院だ。同校では高校生を対象に2017年夏、英語の自習教材としてAI英会話アプリを導入したという。品川女子学院が導入を決めた理由は「発話力の強化」だった。
一般的に英語学習には「聞く、話す、読む、書く」の4技能がある。そのなかでも「話す」ことは、英語で会話する相手が必要なため個別トレーニングが難しく、最も大きな課題となっていた。そんな課題を解決してくれるのが、ソフトウェア開発・ジョイズのAI英会話アプリ「テラトーク(TerraTalk)」だ。
話し放題の英会話アプリであるテラトークは、自分の英語レベルに合わせて、会話レッスンを受けることができる。ユーザーの話し相手をするのは、AI。気兼ねなく、自分が好きなときに好きなだけ英会話をすることができるわけだ。
さらにAIが発音や表現のレベルを診断してくれるので、自分の弱点を確認しながら学習を深めることもできる。実用性の高い英会話を学びたい人には、うってつけのアプリといえるだろう。
すでに始まったリアルタイム翻訳
AIを使って英会話を体得する時代に突入したことは大きな進歩だが、一方ではよりダイレクトに「言葉の壁」を突破しようという試みは少なくない。従来のように、音声を翻訳してテキストとして出力するのではなく、音声を音声で翻訳するリアルタイム音声翻訳だ。
AI技術を活用したリアルタイム音声翻訳といえば、マイクロソフトのクラウドベースの翻訳サービス「Microsoft Translator」が代表格だろう。同サービスの日本語リアルタイム翻訳は、スカイプ翻訳にも導入されている。
同サービスを使うと、日本語を使う人と英語を使う人が会話をしているとき、前者が日本語をしゃべると後者のイヤホンには音声合成の英語が流れる。もちろん逆も然りだ。リアルタイムに外国語が翻訳されるため、新しいコミュニケーションの可能性を感じさせてくれる。
Microsoft Translatorはこれまでの統計的機械翻訳ではなく、ニューラルネットワークを活用した翻訳エンジンを使っているという。マイクロソフトによれば、「既存の業界標準の統計的機械翻訳テクノロジよりもはるかに高い翻訳品質を実現」(マイクロソフト公式ブログより)しており、「特に、複雑な構造を持つ日本語においては、ニューラルネットワークによる翻訳を実現したことで、品質を大幅に向上」(同)できたとのこと。
ディープラーニングを行っているため、使えば使うほど翻訳精度が高まることも強調されていた。将来的に「外国語学習は不要」という世界が訪れるのではと期待が膨らむ。
通訳者は「AIイヤホン」に変わっていく
AIによる翻訳が広がるのに合わせ、リアルタイム翻訳を身近にする「AIイヤホン」という新たなツールも続々と登場し、競走が激化していきそうだ。
グーグルが2017年10月に発表したワイヤレスイヤホン「Pixel Buds」には、40カ国語に対応するリアルタイム翻訳機能が使えるマイクが搭載されており、会話相手の外国語を自分の母国語に音声で翻訳してくれるそうだ。
韓国NAVERも2018年上半期にリアルタイム翻訳機能を持つイヤホン「MARS」を発売すると予告しており、こちらは1組のイヤホンを2人が分け合って装着すると、リアルタイムで通訳されるとのこと。AIスピーカーに続き、AIイヤホンにも注目が集まってきている。
英会話学習からリアルタイム翻訳まで、AIが人々の"会話"に与える影響は、ますます拡大していきそうだ。
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