2018年8月29日水曜日

Googleがコンタクトセンター向けAI発表、AmazonやMicrosoftと競い合う

 Googleは、企業がコンタクトセンターで仮想エージェントやその他の人工知能(AI)技術を簡単に導入できるようにする開発プラットフォームを発表した。Googleは、Cisco SystemsやGenesysを含むコンタクトセンター分野の大手ベンダー数社と提携して製品を市場に投入している。
 Googleの「Contact Center AI」プラットフォームは、仮想エージェント、AI技術によるコールセンター担当者の支援、そしてコンタクトセンター分析の3つの主要な機能を実装している。同社はまず、2017年11月に会話型AIbotを構築するためのツールキットをリリースし、2018年7月にプラットフォームを更新してコンタクトセンター用のツールを追加した。
 仮想エージェントは、音声およびテキスト入力を認識するGoogleの自然言語処理プラットフォームを利用し、顧客からよくある問い合わせへの対応を支援する。ベンダーのGenesysは、顧客が足に合わない靴を返却する際に、チャットbotがそのプロセスを手助けし、その後コールセンター担当者へ電話をつないで新しい靴の注文を完了するまでの一連の流れを例示した。
 Googleのコンタクトセンター担当者支援システムは、よくある質問や社内文書などの会社のナレッジベースをスキャンし、担当者が顧客の質問に素早く対応できるよう支援する。分析ツールは会話や通話記録を分析して顧客の傾向を把握することで、担当者の教育や仮想エージェントの開発を支援する。
ベンダーがGoogleのContact Center AIの採用に殺到
 互いに競合する数多くのコンタクトセンターのベンダーが、GoogleのContact Center AIの採用について驚くほど類似したプレスリリースを一斉に発表した。
 このGoogleのプラットフォームは、Cisco、Genesys、Mitel、Five9、RingCentral、Vonage、Twilio、AppianおよびUpwireといった各パートナーを通じて提供される。
 「Avayaを除いたほぼ全てのベンダーが同じ会社と手を組んだ新製品の発売は、これまでに聞いたことがないと思う」と、調査・分析会社J Arnold & Associatesの主席アナリスト、ジョン・アーノルド氏は語った。
 Avayaはすっかりパートナーのリストから外れていた。同社は以前、2017年の大半を破産裁判所への申請に費やし、迅速なクラウドへの方針転換に対応できなかったことで批判を受けていた。同社は2018年初めの会議で、AI機能を社内で開発している旨を述べたと、Nemertes Researchのアナリストのアーウィン・ラザール氏は語る。
 Avayaの広報担当者は、同社のプラットフォームは、Google、IBM、Amazon、Nuanceなどのベンダーから提供されるさまざまなAI技術と統合していると語った。そして「AvayaはGoogleと密接な関係を築いており、すでに存在しているものに加えてさらなる統合の機会を追求している」と続けた。
 2018年5月、Googleの消費者市場をターゲットとした会話型AIbot「Google Duplex」のリリースがメディアで大きく報道された。同社は美容院とレストランの間で行われた短時間の通話において、プラットフォームが人間と同等のレベルで機能することを実証した。Googleによると、Contact Center AIは、Google Duplexと同じインフラストラクチャの一部を基盤として構築されたが、プラットフォームとしては別のものであるという。
 「これまでGoogleはコンタクトセンターのプレーヤーとして目立つ存在ではなかった。しかしAIが成長曲線に沿って普及する中、誰もがAIの利用方法を考えている。GoogleはAmazonと同様、明らかにAIの最も強力なプレーヤーの1つだ」とアーノルド氏は語った。
 Googleは収益の多くを広告収入に依存しているため、同社はコンタクトセンターのAIを使用して利益を上げる必要はない。この製品はAmazonに後れを取らないことに一役買っている。Amazonは2017年、コンタクトセンター向けプラットフォーム「Amazon Connect」をリリースしている。
 Googleは、常にAIモデルを改善する方法を模索しているが、Contact Center AIを通じてさまざまなデータビジネスに着手することはないと述べた。
 現在Googleとパートナーとなっているコンタクトセンターのベンダーは、以前から独自のAI技術を開発または獲得しようと争っていた。独自のAI機能がGoogleのプラットフォームをどのように補完するのかを強調する企業もある。例えばGenesysは、チャットbot、機械学習、および分析を組み合わせた同社のBlended AIプラットフォームが持つ、予測してルーティングする技術を利用して、Googleのチャットbotからオンラインの担当者に通話を転送すると説明する。
 「Amazon、Google、Microsoftなどのベンダーが提供する、高度なAI技術に必要なコンピューティング能力を使いこなせる企業はほとんどない。そのため、ベンダーが独自に機能を開発するのは困難だろうと考えている」とラザール氏は述べた。

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