モバイルアプリ開発プロジェクトの予算を確保しているか
IT部門のモバイルアプリ開発は、多くの機能の搭載や他システムとの統合を必要とする場合は、特にコストのかかるプロジェクトになる。そのコストは推定10万~50万ドルになる可能性がある。もしも予算が10万ドルを下回るのであれば、アプリの品質が低下する恐れがある。
モバイルアプリ開発プロジェクトのコストを見積もる際に、IT部門が考慮する要素はたくさんある。
例えばライセンス料、従業員のトレーニング、DevOpsのリソース、ホスティングサービスなどが挙げられる。コストの最も大きな要素になるのは、IT部門が開発を計画しているアプリの種類だ。IT部門は、Appleの「iOS」とGoogleの「Android」のいずれか、または両方をサポートするのか、ネイティブ、ハイブリッド、Webベースのいずれにするかを決める必要がある。次に、社内で開発するか、外部に委託するかを決める。
モバイルアプリ開発プロジェクトの大筋を決めたら、計画・設計からテスト・導入まで、アプリ開発ライフサイクルの全ての段階を検証する。その上で各段階にかかるコストを集計して、正確な見積もりを判断する。例えば、ITプロフェッショナルは、地理位置情報やオフラインアクセスなど、アプリに実装する機能を選ぶ必要がある。アプリを統合するバックエンドシステムを把握することも必要だ。
IT全般のコストを見積もったら、資格のあるアナリストが費用対効果を分析し、アプリのコストがその効果に見合うかどうかを判断する。社内モバイルアプリには、従業員の生産性向上やコミュニケーションの改善など、さまざまなメリットがある。コストが高くなっても、計算したROIが妥当であれば、IT部門はそのアプリ開発プロセスに踏み出すべきだ。
アプリケーション開発を迅速にするツールを利用するかどうか
IT部門がモバイルアプリ開発のコストを削減する1つの方法として、高速モバイルアプリケーション開発(Rapid Mobile Application Development、RMAD)プラットフォームを利用する方法がある。RMADプラットフォームは、事前構成済みのコンポーネントを利用することで、モバイルアプリをより迅速かつ容易に開発できるようにする。その結果、管理や開発に必要なリソースが少なくなり、コストが抑えられる。
RMADプラットフォームでは、IT管理者が、ID管理プラットフォームやディレクトリサービスなど、既存のエンタープライズサービスとアプリを簡単に統合できる。RMADプラットフォームでは統一されたテクノロジーを利用するため、IT部門が統合のためにカスタムAPIを作成する必要がない。
RAMDの重要な点は、ほぼコード不要の開発手法を利用して、開発知識のないユーザー(市民開発者とも呼ぶ)をサポートすることだ。しかしこのアプローチは、多くの企業が求める管理能力の欠如につながる。IT部門がネイティブアプリをカスタマイズする場合や、顧客が直接操作するアプリを開発する場合は特にこの点が問題になる。HTMLアプリの増加やその他のモバイルアプリ開発のトレンドにより、ほぼコード不要の開発をしようという考えは減り始めている。
プログレッシブWebアプリやインスタントアプリを考慮するかどうか
モバイルアプリ開発の新たな手法として盛んになっているのがプログレッシブWebアプリ(PWA)だ。PWAはWebベースでありながら、ネイティブモバイルアプリのように動作する。PWAは、オフラインアクセス、ホーム画面の存在、プッシュ通知など、ネイティブアプリと多くの機能を共有する。ユーザーの立場で言えば、ネイティブアプリとPWAの外観や操作感に大きな違いはない。
多くのB2Cアプリには、プログレッシブWeb開発が適している。だが、社内アプリにも応用できる。例えば、PWAのオフライン機能は、現場作業員などにとっては非常に便利だ。
PWAのモバイルアプリ開発プロジェクトは比較的シンプルで、iOSとAndroidでコードを分ける必要がないため、PWAの開発は徐々に一般的になっていくだろう。PWAは従来のWebアプリに比べて速度やパフォーマンスの面でも優れている。
インスタントアプリもAndroid固有の選択肢の1つだ。インスタントアプリとはネイティブモバイルアプリの小さなセグメントを指す。インスタントアプリには、Google検索や同社の「Google Play」ストアの「今すぐ試す」ボタンからアクセスできる。ユーザーがリンクやボタンからインスタントアプリにアクセスすると、アプリのその部分を実行するために必要な少量のコードフラグメントが自動的に実行される。
PWAと同様、インスタントアプリはネイティブアプリの機能性とWebのアクセスの容易さを兼ねそろえている。インスタントアプリを利用した企業の多くは、アプリの導入率が増えていると報告している。インスタントアプリはPWAと同じく、個別にコードを作成することも、専門チームを供することも必要としない。開発者はGoogleの「Android Studio」を使って、既存のアプリをインスタントアプリに変換できる。
ただし、インスタントアプリには、開発者が特定の機能モジュールにコードをリファクタリングしなければならないという課題がある。これは、多くの場合に単一モジュールになる従来のモバイルアプリ開発とは対極をなす。
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