最初に発表されたWindows Phone 7端末は、4つのメーカーから、合計9機種(後に「HTC 7 Pro」が加わり、10機種)のラインアップとなっていました。
特徴的なのは、その基本スペックが均質化されていることです。全ての端末は画面解像度480×800ピクセルのディスプレイや、動作周波数1GHzのQSD8250プロセッサを搭載しています。
このような共通仕様は、「Chassis」と呼ばれています。Chassisには、下記の表のように、「最低256MBytesのRAM」のように端末が最低限クリアすべき条件や、「480×800ピクセルの画面解像度」のように変更できない必須要件が定められています。
項目 | 要件 | 最新の"Mango"での変更点 |
タッチスクリーン | 静電容量式タッチパネル | |
センサー | A-GPS、加速度センサー、コンパス、 | ジャイロ(オプション) |
カメラ | 5メガピクセル以上 | |
メモリ | 256MBytes以上 | |
ストレージ | 8GBytes以上のフラッシュ・メモリ | |
GPU | DirectX 9対応 | |
CPU | ARMv7 Cortex/Scorpion以上 | MSM8x55またはMSM7x30以上 |
画面解像度 | 480×800のWVGAまたは | 480×800のWVGAのみ |
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Chassis仕様 | ||
※1 当初のChassis仕様ではHVGAも規定されていたが、実際にHVGAの解像度を持った端末は一台もリリースされていないので無視してよい。 |
これは、「端末メーカーがハードウェアをカスタマイズできない」という意味ではありません。あくまで基本的な性能を統一することで、重箱の隅をつつくようなスペック競争や、アプリの互換性が低下することを回避するのが狙いです。
もちろんメリットだけではなく、デメリットもあります。個性的な端末を作ることに自信のあるメーカーにとって、Chassis仕様は足かせになってしまいます。実際、Windows Phone 7への参入をためらうメーカーが、カスタマイズの不自由さを理由に挙げたこともあります。
サムスン(Samsung)は2機種、「Samsung Focus」と「Samsung Omnia 7」を投入しています。Samsung FocusはアメリカではAT&T、カナダではRogers Communicationsから発売されており、ディスプレイにサムスンが誇る「Super AMOLED」を採用しているのが特徴です。AT&Tが全米で放映したCMに登場しており、北米で人気の高い端末です。Samsung Omnia 7は、ヨーロッパを中心に人気があります。
HTCは最多の5機種をリリースしています。一番人気は、4.3型のLCDディスプレイを搭載した「HTC HD7」です。「Samsung Focusを抑えて、世界で最も売れている端末である」といわれており、さまざまなアクセス統計に表れています。ほかにも、スライド型スピーカを搭載した「HTC 7 Surround」や、SRS WOW HDを採用した「HTC 7 Mozart」は、いずれも音楽を重視した端末で、音楽プレイヤー「Zune」の遺伝子を受け継ぐ端末といえます。余計な機能を搭載せず、シンプルに徹した「HTC 7 Trophy」や、キーボード付き端末「HTC 7 Pro」も人気があります。
LGの端末は「LG Optimus 7」と「LG Quantum」(北米以外では「Optimus 7Q」と呼ばれる)の2機種。DLNA対応が特徴的です。
デル(Dell)唯一の端末「Dell Venue Pro」は、縦方向にスライドするハードウェア・キーボードを備えており、ほかのメーカーにはないシルエットとなっています。
このように、Windows Phone 7端末は一定のハードウェア要件満たしつつ、その中でいかにして個性を出すか、さまざまな工夫が凝らされているのが特徴といえます。
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