2018年10月30日火曜日

Gartnerがデータ管理分野の「3つの新興技術」に注目、いずれも急速に普及が進む

 Gartner2018911日(英国時間)、同年7月に発表したハイプサイクルレポート「Hype Cycle for Data Management, 2018」(データ管理のハイプサイクル:2018年)において、3つの技術が「黎明(れいめい)期」の段階に入ったこと、さらにデータ管理のハイプサイクルレポートで初めて取り上げたことについて、解説を加えた。

 3つの技術とは、「DataOps」「プライベートクラウドdbPaaSPrivate Cloud database Platform as a Service)」「機械学習(ML)対応のデータ管理」だ。

 
データ管理のハイプサイクル(2018年) 3つの技術には@IT編集部が赤線を引いた(出典:Gartner

 データ管理のハイプサイクルレポートは、最高データ責任者(CDO)など、データや分析の担当幹部がデータ管理技術の成熟度を理解できるよう支援することを目的としている。5段階あるハイプサイクルの最初の段階に当たる「黎明期」には、「ブレークスルー、公開デモ、製品発表などのイベントにより、技術がメディアに大きく取り上げられ、業界の関心を集める」とGartnerは説明している。

 同社のバイスプレジデント兼ディスティングイッシュドアナリストを務めるドナルド・フェインバーグ氏は、「今回は黎明期に入った技術が3つしかなかった。これは、データ管理分野ではイノベーションよりも、大規模な管理の実現に力が入れられているからだ」と述べている。

 この分野では、ベンダーがクラウドファーストの提供モデルへの移行を進めているため、dbPaaSiPaaS(統合PaaS)といった技術が急速に台頭している。dbPaaSは企業で導入が進んでおり、2年以内に主流技術になりそうだ。インメモリ機能も広く提供されるようになり、あらゆるデータ管理技術で使われるようになっている。

 「技術よりも提供プラットフォームの成熟が早い。これらは、ハイプサイクルの最後の段階である『生産性の安定期』に迅速に移行しようとしている」(フェインバーグ氏)

DataOps

 DataOpsは、組織内のデータ管理者とデータ利用者の間におけるコミュニケーションの向上と、データフローの統合、自動化に重点を置いた手法。共同作業によるデータ管理のプラクティス(実践)を指す。DevOpsと同様に、DataOpsは厳密な規則ではなく、規範に基づくプラクティスだ。組織内のデータ利用者のニーズを満たすデータの提供方法や更新方法に影響を与える。

 「DataOpsは、標準やフレームワークがいまだに存在しない新しいプラクティスだ。しかし、自社サービスについて説明するときにDataOpsという用語を使うITプロバイダーが増えてきている。データや分析の担当チームは、DataOpsがどのような概念なのか考慮している段階だ。今は宣伝が先行しているが、DataOpsはハイプサイクルの各段階を急速に進んでいくだろう」(Gartnerのリサーチバイスプレジデント、ニック・ヒューデッカー氏)

プライベートクラウドdbPaaS

 プライベートクラウドdbPaaSは、プライベートクラウドデータベースプラットフォームの特徴である相互分離と、パブリッククラウドの特徴であるセルフサービスやスケーラビリティを組み合わせた製品だ。最近、ベンダーのポートフォリオに登場し始めており、オンプレミスデータセンターでクラウド体験を提供する。Gartnerのアナリストは、プライベートクラウドdbPaaSは、組織が長期的なクラウド戦略を進める中で、"つなぎの技術"の役割を果たすと述べている。

 「プライベートクラウドdbPaaSは、セキュリティや規制などのために、パブリッククラウドに移行できないか、移行する準備ができていない組織のための選択肢だ。こうした組織は既存のオンプレミスインフラをdbPaaSに使用することが多く、そのためにこの技術は導入が急ピッチで進むだろう」(Gartnerのリサーチディレクター、アダム・ロンサル氏)

ML対応のデータ管理

 ML1970年代からデータ管理に使われてきたが、現在では、MLライブラリやAI(人工知能)ライブラリの充実を背景に、ベンダーが最新の各種ML技術を取り入れ、データ管理ソフトウェアでさまざまな自動管理ソリューションを実現している。製品の使い方のチューニングや調整だけでなく、新しい設計、スキーマ、クエリの提案を行うソリューションもある。

 「こうした新しいユースケースの多くは、まだ初期段階にある。そこでわれわれは、ML対応のデータ管理を黎明期と位置付けた。だが、この技術は進化が速い。データ管理にMLを利用した製品の多くは現在、クラウドでのみ提供されており、今後は膨大なデータでトレーニングが続くだろう。その結果としての機能向上がオンプレミスソフトウェアにも波及し、ML対応のデータ管理は今後数年間で急速に導入が進むだろう」

 

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