サイゼリヤとNTTドコモは2018年11月19日、サイゼリヤの都内数店舗でAIによる「リアルタイム売上予測」の実証実験を実施すると発表した。予測結果を活用した店舗オペレーションの効率化を目指す。実証期間は、2018年11月30日から2019年3月31日までを予定している。
サイゼリヤでは、効率的で質の高い店舗運営には来店客数の予測が不可欠と考え、来店客数の予測を基に従業員のシフトを決めている。来店客数の予測は、過去の実績などから各店の店長が行っているが、精度にバラつきがあることから、予測精度の標準化と精度向上が課題だったという。
実証実験では、NTTグループのAI技術「corevo」を活用して、サイゼリヤ各店舗の過去3年間の売上実績データに、天候などの外部情報とNTTドコモの携帯電話ネットワークを利用した人口統計データのリアルタイム版である「近未来人数予測」を掛け合わせ、売上との関係性を分析して、売上金額を予測する。
予測は、分析時点から「1時間〜数時間後」「翌日」「数週間後」の単位で行い、それぞれ1時間ごとの売上金額として予測結果を出力する。
特に1時間〜数時間後の売上予測は、ほぼリアルタイムに人の動きを推計する人口統計データが反映されているため、天候の変化や店舗近隣でのイベント開催などの影響による突発的な来店需要の変動についても、的確に予測できるという。
予測結果は、翌日や数週間後の店舗従業員のシフト管理に活用する。
また、1時間ごとの直近売上予測を店舗に配備したタブレットに配信し、直近売上予測値が数週間前に予測された値より一定以上上回った場合は、タブレットの通知音を鳴動する。これにより、来店客の急増を店舗従業員に通知して事前準備を促し、来店客の待ち時間の短縮や機会損失の低減を図るなど、サービス品質の向上や従業員の負担軽減といった店舗オペレーションの改善を目指す。
今回の実証実験に先立ち、サイゼリヤの都内6店舗の売上実績について、サイゼリヤの従来手法による売上予測との誤差、およびリアルタイム売上予測技術による売上予測との誤差を比較したところ、特に売上が平常時よりも伸びた時間帯の予測で、リアルタイム売上予測技術の方が誤差が25%小さい結果になったという。
NTTドコモでは、実証実験を通して、リアルタイム売上予測の予測精度の向上を目指した技術検証などを行い、将来的には、さまざまな業種の店舗オペレーションの効率化につながるサービスとして実用化を目指すとしている。
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