よほど在庫が積み上がってるのか、 ドコモ SC-04D Galaxy Nexus が新規一括 0円で売っていた。 あんなに大々的な宣伝を行なっておいて何をやってるんだか...
私が見た店は、 0円の条件として、ひとりでも割50 が必須。 つまり 2年間の契約期間中に割引サービスを廃止 (あるいは回線ごと解約) する場合は、 9,975円の解約金が必要となる。 契約事務手数料 3000円の他、 初月のみ 「パケ・ホーダイ ダブル2定額」 など諸々のオプション (写真→) を付ける必要があり、 違約金以外に 5000?7000円ほどかかる。 加入条件のオプションの多さに圧倒されるが、 「パケホダブル」 以外のオプションは初月無料がほとんどで、 今月中に解約すれば費用はかからない。 パケホダブルは月額2,100円だが日割が適用されるので、 月末近くに契約すればもっと安くなる (あいにく私が買ったのは月初だが)。
なんたって Galaxy Nexus である。 わずか 3ヶ月前に HK$5398 (約 54,000円) もしたケータイが、 2万円かからずに入手できるのは見逃せない。 思わず衝動買い (0円なので 「買った」 とは言えない?) してしまった。
帰宅して SC-04D の電源を入れようとすると... う、電源が ON のままだったか。 てっきりショップで電源を OFF にして渡してくれたものと思い込んでいた。 そしてディスプレイが点灯してそこに表示されたのは、 無情な 「システムアップデート」 の文字。
あとで分かったが、 ショップを出て帰宅するまでの短い時間に、 9.3MB ものアップデートファイル (yakjusc_ITL41D_to_ICL53F.zip) が転送されていて、 この日のパケット代が、 いきなり 3800円。 SC-04D を安く入手しようという目論見が、いきなりパー。 なにもこんなタイミングでアップデートファイルを送りつけなくても... 無線LAN に接続するまで待って欲しかった。
で、 こんなアップデートのお知らせはサックリ無視して真っ先に行なったのは、 ブートローダのアンロック (fastboot oem unlock)。 いきなりドコモの保証がパー。
一度フツーに起動させてフラッシュメモリの初期化を行なった後 (一度フツーに OS を起動しないと、 フラッシュメモリにアクセスできない)、 Clockwork Mod Recovery を fastboot で起動する (fastboot boot <kernel>)。 そして、 初期状態のドコモ純正ROM を、 ベースバンド込みで丸ごとバックアップ。 これでいつでも元の状態に戻せるようになったので、 ClockworkMod Recovery をフラッシュメモリの 「recovery」 領域 (リカバリ用のカーネルを格納する領域) に書込む (fastboot flash recovery <kernel>)。
senri:~ $ fastboot oem unlock ... OKAY [ 52.022s] finished. total time: 52.022s senri:~ $ fastboot boot recovery-clockwork-5.5.0.2-maguro.img downloading 'boot.img'... OKAY [ 0.553s] booting... OKAY [ 0.329s] finished. total time: 0.882s senri:~ $ adb shell ~ # dd if=/dev/block/platform/omap/omap_hsmmc.0/by-name/radio of=/sdcard/SC04DOMKKD.img bs=1024 16384+0 records in 16384+0 records out 16777216 bytes transferred in 6.601 secs (2541617 bytes/sec) ~ # exit senri:~ $ adb pull /sdcard/SC04DOMKKD.img 4569 KB/s (16777216 bytes in 3.585s) senri:~ $ mkdir backup senri:~ $ adb pull /sdcard/clockworkmod/backup/ backup/ pull: building file list... pull: /sdcard/clockworkmod/backup/2012-03-04.01.09.21/nandroid.md5 -> backup/2012-03-04.01.09.21/nandroid.md5 pull: /sdcard/clockworkmod/backup/2012-03-04.01.09.21/cache.ext4.tar -> backup/2012-03-04.01.09.21/cache.ext4.tar pull: /sdcard/clockworkmod/backup/2012-03-04.01.09.21/data.ext4.tar -> backup/2012-03-04.01.09.21/data.ext4.tar pull: /sdcard/clockworkmod/backup/2012-03-04.01.09.21/system.ext4.tar -> backup/2012-03-04.01.09.21/system.ext4.tar pull: /sdcard/clockworkmod/backup/2012-03-04.01.09.21/recovery.img -> backup/2012-03-04.01.09.21/recovery.img pull: /sdcard/clockworkmod/backup/2012-03-04.01.09.21/boot.img -> backup/2012-03-04.01.09.21/boot.img 6 files pulled. 0 files skipped. 4308 KB/s (384848109 bytes in 87.229s) senri:~ $ fastboot flash recovery recovery-clockwork-5.5.0.2-maguro.img sending 'recovery' (5300 KB)... OKAY [ 0.552s] writing 'recovery'... OKAY [ 1.015s] finished. total time: 1.567s
再び通常起動して、 (今度は抜かり無く) 無線LAN の設定を行なってから、放置 (念のため、 「データ通信を有効にする」 を無効にしておく)。 ほどなく再びアップデートファイルがダウンロードされてきた。
フラッシュに書込んだ ClockworkMod Recovery を起動して、 /cache に格納されていた 94ec403ff247.update_yakjusc_ITL41D_to_ICL53F.zip (アップデートファイル) を /sdcard へコピー。 で、ClockworkMod Recovery からこの zip ファイルをインストール。 この時点で (ClockworkMod Recovery を書込んだ) recovery 領域は、 ドコモ (というか Google) 純正リカバリ用カーネルで上書きされる。
これでビルド番号が ICL53F.SC04DOMLA1 になった。 ちなみに末尾の 「LA1」 というのは、 「L」 が 2012年 (L は 12番目のアルファベットだから) を意味し、 その次の 「A」 が 1月 (A は 1番目のアルファベット) を意味し、 その次の 「1」 は、 その月にリリースされた最初のバージョンであることを意味する。
「L53F」 も同様に、 「L」 が 2011年第4四半期 (2009年第1四半期を A として) を意味し、 「53」 が、 その四半期で 53日目であることを意味し、 「F」 は同じ日の 6番目のリリースであることを意味するらしい。 先頭の 「I」 は、 Ice Cream Sandwich の頭文字。
このバージョンのドコモ純正ROM も、 上記と同様に ClockworkMod Recovery を使って、 ベースバンド込みで丸ごとバックアップ。 無線LAN の設定を行なったので厳密には初期状態ではないが、 初期化するのが面倒なので、 まあよしとする。
以上で、 いつでもドコモ純正ROM に戻る手段を確保できたので、 ここでドコモ純正ROM にサヨナラする。 私が普段使ってる Galaxy Nexus (3ヶ月前に香港で買った) を丸ごとバックアップし、 そのバックアップファイルを SC-04D へ、 ClockworkMod Recovery を使って丸ごとリストア (もちろん、リストアする代わりに Google 純正ROM を書き込んで、 国際版の初期状態にしてもよい)。
裏ブタ記載の文字が異なる (なぜ SC-04D には Google ロゴがない?) 他は、 全く同じ外観。 丸ごとリストアしたので、 フラッシュメモリの中身も全く同じ (もちろん IMEI など、端末固有のデータは異なる)。
丸ごとリストアしたことによって OS も書き換えてしまったので、 ドコモのテザリングの制約 (勝手に APN が dcmtrg.ne.jp に切り替わるとか) から解放される (はず)。 「パソコンなどの外部機器を接続した通信」 ではなく スマートフォン定額通信の範囲でテザリングできるはずだが、 私は興味がない (ドコモは今月一杯で解約するつもりだし) ので試していない。 OS が書き変わっても、 IMEI 上は 「ドコモ純正端末」 なので、 フツーに spモードを利用できる。 こうなってくると、 ドコモが何のために接続する端末の IMEI を制限しているのか分からなくなる。
二つの Galaxy Nexus の OS は同じになったが、 SC-04D にはまだ SIM ロックがかかっている。 ドコモショップで SIMロック解除の手続きを行なってくれるが、 ブートローダをアンロックした Nexus も対象となるのか? ブートローダだけならまだしも、 OS ごと入れ替えてしまっていても拒否されないのか?
SIMロックは、 (Samsung製) Android 端末の場合 /data/radio/nv_data.bin などで設定されている。 このファイルを 「正しく」 書き換えることができれば SIMロックを解除できるのだが、 このファイルが改変されていないか検証するために、 /data/radio/nv_data.bin.md5 に MD5 値が保存されている。 そして残念なことに、 この MD5 の算出方法が不明。 もちろん、 単純に nv_data.bin の MD5 を算出するだけではダメで、 何らかの秘密の seed が必要なのだと思われる (ファイル名の通り MD5 が使われていると仮定してだが)。
MD5 の値が一致しなかったなどの理由で検証にパスしなかった場合、 あるいは (Android を初期化したなどの理由で) そもそも /data/radio/nv_data.bin が存在しなかった場合は、 /factory/nv_data.bin を使って /data/radio/nv_data.bin が作られる。 ところが、 /factory/nv_data.bin にも、 /factory/nv_data.bin.md5 があって、 その内容が書き換えられないように保護されている。
/factory/nv_data.bin が検証をパスしないと、 /factory/.nv_data.bak が使われるらしい。 何段もの防御があって、 なかなか突破するのが難しそうである。 そこで、 改変した nv_data.bin を /factory/nv_data.bin と /factory/.nv_data.bak にコピーして、 検証が通らなくて書き戻そうにも、 本来の nv_data.bin を参照できないようにしてみた。
すると... 驚いたことに、 ドコモ以外の SIM でも使えてしまった。 google で検索すると、 あちこちで SIMロックの解除方法を説明したページが見つかるが、 ほとんど (全て?) は同様の方法であるようだ。 しかし、 この方法には重大な欠点がある。 それは、 IMEI の値が 「
」 になってしまう点。 キャリア側で IMEI の値をチェックしていなければ、 そのまま使えてしまうのかもしれないが、 これでは 「ここに不正改造無線局があります?」 と吹聴して歩き回るのと大差なく、 甚だ具合がよろしくない。というわけで万策尽きたので、 解除コード (Unlock Code) を業者から買うことにした。 だいたい $30 前後で、 ドコモ (3,150円) より若干安い。 この期に及んでドコモのサービスを使わないのは、 前述した懸念点があるのと、 ドコモショップでは 「解除PIN」 を教えてもらえなかった、 という話をネット上で見かけたため。
ドコモショップの店長が、 「このコードはドコモの内部情報になるため、お客様にはお伝えできません」と言ったらしいが、 この話が本当なら、 とんでもない話だと思う。 3,150円も取っておきながら PIN 一つ教えないとはどーいうことだ。
ドコモショップで SIM ロック解除したケータイを海外に持って行き、 現地の SIM を入れて電源を入れたら、 「SIMネットワークのロック解除PIN」 を入力する画面になってしまい往生した、 という怨嗟の声をネット上で見かけるが、 おそらく何らかの理由で /data/radio/nv_data.bin の内容が壊れてしまい、 /factory/nv_data.bin の内容で書き戻されたために、 ロック解除PIN の入力が必要になってしまったものと思われる。
つまり、 ロック解除PIN を入力して SIM ロックを解除した後、 /data/radio/nv_data.bin および /data/radio/nv_data.bin.md5 を /factory へコピーしておけばこのような事態に陥ることを回避できる。 ただし、 Android の root 権限が必要。 root 権限がないと、 そもそも /data/radio/nv_data.bin を読むことができない。 だから、 何かあったときのため、 ロック解除PIN を記録しておくことが重要。
Cell Unlocker .net で、 device 名として 「Galaxy Nexus」、 SIM ロック先のキャリアとして、 「All Asia Countries」 を指定し、 IMEI (「*#06#」 をダイヤルすると表示される) を入力した。 すると PayPal の支払い画面に遷移するので、 $29.99 の支払いボタンを押すだけ。
7時間半後、 ロック解除PIN が書かれたメールが送られてきた。 メールには、
Video proof will be required if code does not work, it's a good idea to film inputting the unlock code so we can help trouble shoot what the problem is.
と書かれていたので、 まず、 デジカメ (ビデオカメラは持ってない) を三脚にセットして動画撮影する準備を整えた。 SingTel の SIM (ドコモ以外ならどこでも) を SC-04D に入れて電源を入れる。 すると、 ↑ の写真にあるような 「SIMネットワークのロック解除PIN」 を入力する画面になったので、 デジカメで動画撮影しつつ、 メールに書かれていた unlock code を入力した。 すると、 「ネットワークのロック解除をリクエスト中...」 と表示され、 すぐ 「ネットワークロックを解除しました。」 と表示された。 数秒後、 Android のホーム画面が表示された。
以上で、 二つの Galaxy Nexus は (IMEI 以外は) 完全に同じになった。 今まで Galaxy Nexus で使っていた Softbank SIM を、 SC-04D に入れて、 今後は SC-04D のほうを使ってみようと思う。 普通に使っている限り、 たぶん、何の違いも見いだせないに違いない。
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