2017年12月7日木曜日

IoTでJavaが選ばれる4つの理由

 Java言語の最大級の利点は、アプリコードの安定性にある。C言語がメモリ参照用に明示ポインタを使っているのに対し、Javaのオブジェクト参照は全て、アプリのコードでは操作できない暗黙のポインタが使われる。これによって、アプリが突然動作を停止する原因となるメモリアクセス違反のような問題の可能性が自動的に排除される。C言語で書かれたアプリを新しいプラットフォームに移植するには時間とコストがかかってミスが生じることもある。これに対してJavaのもう1つの利点は、1度書けばどこでも実行できる点にある。アプリで使っているAPIが変わらなければ、既存のJARファイルクラスにデプロイし直すだけで済む。単純な再コンパイルを行えば、Javaの新しいバージョンに移行できる。

IoTアプリケーション開発でJavaが選ばれる4つの理由

 Javaで開発されたIoT(モノのインターネット)アプリは非常に重要性が高く、今後も長期的に存在し続ける。今後もJavaが現実的であり続ける理由を以下に挙げる。

1.成熟度の高さ、継続的な進化

 Javaは現時点で最も安定性が高く、成熟したプログラミング言語の1つだ。バージョンが新しくなるごとに、多様な新機能や性能の強化が盛り込まれる。例えば、複数の有名なJavaアプリケーションは機能的・並列的プログラミングに対応している。

2.手堅いセキュリティ機能

 Javaのセキュリティ機能のおかげで、プログラマーにとっては大型アプリやエンタープライズアプリが構築しやすい。Java仮想マシン(JVM)は中間にあるバイトコードを検証して、アプリによる危険な動作を防止する。開発者は高度なセキュリティ管理機能を使い、信頼できないバイトコードをサンドボックス化されたシナリオの中で実行することにより、特定のAPIや機能へのアクセスを防止できる。同時に、同プラットフォームが提供する安定したセキュリティAPIを活用することもできる。これをユーザー認証やセキュアな通信プロトコルと組み合わせれば、開発者が他の言語以上にJavaを信頼する助けになる。

3.IoTのサポート

 Javaは現時点でIoTに対応しているプログラミング言語の1つだ。Jigsawプロジェクトでは、さらに多様なポータブルデバイスや小型デバイスにJavaを対応させることを目指す。一方で、同プロジェクトは引き続きJavaの拡張性やネットワーキング、セキュリティ、パフォーマンスなどの特性を維持しながら、そうした新しいデバイスや小型デバイスで実行できるようにすることを目指している。

4.プラットフォームからの独立

 現代のプログラマーは、多様なデバイスやプラットフォームをターゲットとするアプリを開発しなければならない。従って、アプリのコードをいったん書いてしまえば、余分な労力をかけなくても複数のプラットフォームに横断的にデプロイできるプログラミング言語を求めている。Javaコードは簡単にバイトコードにコンパイルでき、そのバイトコードは再びコードのコンパイルをしなくても、多様なプラットフォームを横断してデプロイできる。

IoTにとってのJavaのメリット

 Javaの利点はよく知られている。開発者がデスクトップで構築し、デバッグしたコードは、JVMを使ってどんなチップにでも移行できる。これは、スマートフォンやサーバのようにJVMが一般的な場所だけでなく、最小のマシン上でもコードが実行できることを意味する。小型電話や組み込みデバイス向けには、2000年に規格が承認されて以来、Java Micro Edition(Java ME)が提供されてきた。Java MEではクラスライブラリのコレクションや他のツールを制限することによって、スペースを削減した。今日最も重点が置かれているJava SE Embeddedは、容量においてStandard Editionに近い。開発者はJava 8の現在の機能を使い、そのコードを小型の組み込みデバイスに移植できる。Javaのコンピューティングリソース節減の大部分は、キーボードやディスプレイを接続しないヘッドレスでマシンを運用できる設定において、情報の表示に必要なクラスをそぎ落とすことによって実現している。

IoTにJavaが求められる理由

 Javaはネットワークの移植性を実現する。開発者にとっても習得しやすい。この2つの側面が組み合わさって、Javaはデバイスの相互接続を支援する完璧なプログラムとなっている。PCから携帯電話に至るまで、ほぼ全てのデバイスがJavaを使っている。Javaはインターネットの世界を構成する部品でもあり、IoTにとっては素晴らしい選択肢になる。Javaはあらゆるデバイスに業界で最高水準の機能と最高水準のセキュリティ、豊かな拡張性を提供する。さらに、Javaが大規模なエコシステムを形成しているという事実は、あらゆるIoTへの適応性をさらに高める。上級のJava開発者は、革新的なアプリを開発して、つながる世界の目標達成を支援できる。

 組み込みアプリの開発を検討するに当たっては、どのリアルタイムOSとプロトコルを使うべきかなど、考慮すべき要素が多数ある。Java MEを利用すれば、そうした要素が全て抽象化され、どこへも変更の呼び出しを行わなくてもさまざまなデバイスで実行できるアプリを簡単に書くことができる。

 プラットフォームとしてのJavaは、普遍性や内蔵のセキュリティ機能、暗号化技術を考えると、IoTのための素晴らしい出発点といえる。

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