2018年10月26日金曜日

クラウドビッグスリーのハイブリッドクラウド戦略を比較

 従来、企業がハイブリッドクラウドの導入を計画する場合、OpenStackかVMwareのソリューションをプライベートクラウドの基盤として選定し、それを自社が選んだパブリッククラウドと組み合わせるのが一般的だった。だがそのためには、ITチームが少なくとも2種類のプラットフォームについて個別に調べ、管理する必要があった。

 しかし今や、ハイブリッドクラウドの様相は変わった。Amazon Web Services(以下、AWS社)、MicrosoftおよびGoogleは、オンプレミス環境を視野に収益の拡大を狙う。この変化に押されて2018年は、複数の新しいあるいは刷新されたハイブリッドクラウド技術の登場が予想できる。

Azure Stack
 企業向けハイブリッドクラウドの筆頭かつ、2018年最もエレガントな技術は「Azure Stack」だろう。Microsoftはエンタープライズ市場における強力な地盤を足掛かりとしてパブリッククラウド「Microsoft Azure」の顧客獲得につなげ、特にオンプレミスの「Windows Server」クラスタとの連携を強みとする。Azure Stackはそのアイデアを一歩先へと進め、Microsoftを中心とするハイブリッドクラウドの中で、社内のプライベートな基盤の一画としての役割を果たす。

 少し時間はかかるかもしれないが、MicrosoftはいずれAzure Stackでプライベートクラウドとパブリッククラウドを横断するシームレスなコントロールを実現させ、人工知能(AI)やデータベース、分析機能といった幅広いパブリッククラウドサービスをオンプレミス環境から直接利用することを可能にするだろう。

VMware Cloud on AWS
 これまでプライベートクラウドのアイデアを寄せ付けなかったパブリッククラウド大手のAWS社だが、2016年にVMwareとの間で、「VMware vSphere」の管理をパブリッククラウド「Amazon Web Services」(AWS)へと拡張する提携を結んだ。両社は2017年、「VMware Cloud on AWS」を正式にスタートした。

 同サービスでは膨大な量のオンプレミスのVMware環境を維持しながら、AWSへと拡張し、そのハイブリッドインフラを一元的に管理できる。

 だがAzure Stackに対抗するために、AWS社とVMwareにはまだやるべきことがある。vSphereからAWSへアクセスするには時間がかかる。両社のロードマップを調整して、ソフトウェアにおける衝突や重複を排除するのにも時間がかかるだろう。VMwareとAWSの技術の橋渡しや、負荷分散、セキュリティといったサービスに関する連携強化に向けて、一層の取り組みを期待したい。

 VMware Cloud on AWSもAzure Stackと同様に、受け入れ態勢がある大規模なインストールベースを活用できる。

Google Cloud Platform
 GoogleもRed Hatとの提携を通じてOpenStackのサポート強化することで、ハイブリッドクラウド技術を進化させてきた。一部のOpenStackに関するサービスは比較的未成熟だが、Googleはその資本力によって、ハイブリッドクラウド市場で強力な存在となる可能性がある。

 Googleは向こう数年以内に、より新しいソフトウェアパラダイムを活用して、オープンかつアジャイルなハイブリッドクラウド環境を提供できるかもしれない。同社はまた、クラウドの性能とAIおよび機械学習に焦点を絞った手堅いロードマップを構築している。

今も残るハイブリッドクラウドの溝
 こうしたハイブリッドクラウド技術の進展にもかかわらず、抜け穴は今も存在する。例えばクラウドを横断するストレージ性能は、WAN帯域幅の不足や長時間のレイテンシに起因する重大な制約がある。現時点でそうした問題を緩和する最善の方法として、ゲートウェイのキャッシュや予測的ソフトウェアが利用できる。

 ストレージスペースを削減する手段としてのデータ圧縮という選択肢もあるが、その真価は、WAN転送に必要な帯域幅が減る点にある。SSDは、リアルタイムのデータ圧縮に利用できる予備的なI/Oを提供する。SSDの価格は今や企業向けのHDDを下回り、2018年にはSATA HDDも下回ると予想されることから、プライベートクラウドを全てフラッシュとすることは理にかなう。

 最後に、2017年に発覚したIntel関連のセキュリティ問題は、2018年を通じてハイブリッドクラウド市場に影響を及ぼすだろう。古いサーバの場合、「Meltdown」「Spectre」の脆弱性に対処するソフトウェアパッチをインストールすると、最大で30%も減速する可能性がある。製造後1年以上のサーバは特に大きな影響を受ける。従って、サーバの入れ替えが急ペースで進むことも予想され、ベンダー各社はハイブリッドクラウド技術の効率性向上をうたって新しいハードウェアを売り込むかもしれない。

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