2018年11月5日月曜日

ナンバープレート画像をAIで鮮明化 滋賀県警研究員が開発

 人工知能(AI)を使って防犯カメラに映ったナンバープレートの画像を鮮明化し、数字や文字の認識精度を高める技術を、滋賀県警科学捜査研究所の主任研究員の辻広生さん(38)が開発し、9月に立命館大学の博士号を取得した。逃走車両や不審車両の割り出しなどにつながるため、県警は早期の実用化を目指す。

 防犯カメラで撮影されたナンバープレートの画像を解析する場合、専用ソフトを使い、ピンぼけやナンバー灯による明るさの偏りなどを調整して読み取っている。ただ、画像処理を施しても数字の特定に時間がかかるうえ、種類の多いひらがなの認識は難しかった。

 現場の捜査員から読み取り精度の向上を求める声があがる中、辻さんはAIの「機械学習」に着目し、新たな画像解析技術の開発に乗り出した。機械学習はAIがコンピューターに記録されたデータをもとに最適な答えを導き出すという手法で、近年では将棋や囲碁などに応用されている。

 辻さんは研究の結果、AIで画像全体の明るさを均一にして画質を鮮明化することに成功。画質の悪いひらがなの画像を4万件以上用意し、AIに正解のひらがなのパターンを覚えさせることで、粗い画像からでも判読できるようにした。

 慶応大大学院理工学研究科に在学中から、画像処理技術を専門にしてきた辻さんだが、機械学習の研究は初めてだった。平成27年9月から立命館大学大学院理工学研究科の博士課程に在籍。「多くの理系大学生がつまずく量子力学より難しく感じた」と何度も心が折れそうになりながらも、勤務時間後や休日を返上して精力的に研究に取り組んだ。

 努力が実を結び、実際の監視カメラで撮影した画像を用いた実験で、ひらがなを正確に読み取れることが実証された。事件の早期解決や捜査の効率化が期待されるだけに、辻さんは「早期に実用化し、捜査に役立てたい」と話している。

0 件のコメント:

コメントを投稿