正方行列 AA について、
対称行列: A=A⊤A=A⊤
エルミート行列: A=A∗A=A∗
直交行列: AA⊤=IAA⊤=I
ユニタリー行列: AA∗=I
記号の意味、具体例
II は単位行列です。→単位行列の定義といろいろな性質
A⊤A⊤ は AA の転置行列です。A∗A∗ は随伴行列(共役転置行列)です。例えば A=(acbd)A=(abcd) に対して、A⊤=(abcd)A⊤=(acbd)、A∗=(a¯¯¯b¯¯c¯¯d¯¯¯)A∗=(a¯c¯b¯d¯) です。(a¯¯¯a¯ は aa の複素共役)
対称行列の例:(2331)(2331)
エルミート行列の例:(24−i4+i1)(24+i4−i1)
直交行列の例:⎛⎝12√−12√12√12√⎞⎠(1212−1212)
ユニタリー行列の例:⎛⎝12√i2√i2√12√⎞⎠(12i2i212)
行列の関係
実行列では、A⊤A⊤ と A∗A∗ は同じものなので、
・対称行列はエルミート行列でもある
・直交行列はユニタリー行列でもある
ことが分かります。また、
・対称行列は直交行列で対角化できる。
・エルミート行列はユニタリー行列で対角化できる。
ことが知られています。
その他の性質
・エルミート行列の対角成分は実数です。
・直交行列、ユニタリー行列の行ベクトルたちは、正規直交基底をなします。列ベクトルたちも正規直交基底をなします。→正規直交基底(定義、求め方、性質)
・対称行列、エルミート行列、直交行列、ユニタリー行列はいずれも A∗A=AA∗A∗A=AA∗ を満たします。この式を満たす行列を正規行列と言います。紹介した4種類の行列はいずれも正規行列ですが、他にも正規行列は存在します。
https://mathwords.net/erumiitogyoretsu
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