Googleが患者の医療データ460億件でトレーニングした人工知能(AI)が、医療に関する経過予測の分野で有望のようだ。
Google Brainとスタンフォード大学の研究チームによる、ビッグデータと深層学習(ディープラーニング)の手法を使った入院患者の経過予測に関する論文が最近、「Nature」に掲載された。
研究チームは、アルゴリズムを使って医療の主要な経過を予測した。具体的には死亡、再入院(ケアの質の測定のため)、入院期間(リソースの利用を測定するため)、患者の診断(臨床医による患者の問題の理解を確認するため)などだ。
研究チームは、予測用の統計モデルを構築するにあたり、患者の情報の大半を分析から除外する方法とは異なり、臨床のメモを含む患者の健康記録すべての「表現」を検討するアプローチを採用した。
分析モデルを作る取り組みは80%がデータのクリーニングだとされており、そのようなデータが利用可能だとすると、予測モデルの向上に道が開ける可能性がある。
研究チームはまた、健康成果の予測でモデルが「診察した」各患者のデータを臨床医に正確に表示する方法も開発した。
この方法なら、予測が信頼できる事実に基づいているのかを臨床医が確認でき、予測の理由が説明されないような、いわゆる「ブラックボックス」手法の懸念に対処できる。
Googleは2017年、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、シカゴ大学医学部、スタンフォード大学医学部と共同でこのプロジェクトを開始した。これにより研究チームは、深層学習モデルの検証に、匿名化された膨大な医療記録を利用できた。
チームは、24時間以上入院した成人、合計21万6221人の健康記録を利用し、データ数は460億件を超えた。
Bloombergの報道によると、医療の専門家らを最も感心させたのは、PDFの中や古い図表に書き込まれたメモなど、従来は活用できなかったデータを取捨選択できることだという。
この研究は、Googleのモデルが従来の手法と比べて、患者に関するさまざまな結果の予測に優れていることを示している。
Googleのブログによるとこのモデルは、長期入院になるかの予測で1.0点満点中0.86点(従来の手法では0.76点)、入院患者の死亡の予測については1.0点満点中0.95点(同0.86点)、退院した患者の予期しない再入院の予測については0.77点(同0.70点)を記録した。
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