東芝は2018年6月、あらかじめ学習していないノイズ量にも対応できる深層学習(ディープラーニング)型画像ノイズ除去技術を開発したと発表した。
カメラなどで撮影した写真や映像データには、撮影の状況などによってノイズが発生することがある。こうしたノイズは画質の劣化や視認性の低下を招く。このため、物体認識などの用途では、認識精度を低下させないように、撮影した画像データをデジタル処理し、ノイズ除去などの作業が行われている。
こうした中で、高い復元精度を得るために、深層学習を用いたノイズ除去作業が注目されている。あらかじめ学習したノイズ量の画像であれば、従来方法でも適切な処理を行い、高画質の画像を得ることができる。ところが、実際のノイズ量は撮影環境やカメラの設定によって変化することが多い。このため、想定外のノイズが生じた画像の場合、十分なノイズ除去効果を得られない事例もあるという。
そこで東芝は、事前に学習をしていないノイズ量であっても、適切にノイズ除去できる技術を開発した。今回同社が採用したのは、絶対値がしきい値以下のデータをノイズとみなしてゼロとする「Soft-Shrinkage」関数である。
左は原画に学習した量より多いノイズを実験的に付加した画像例、中央は従来の深層学習方法でノイズ除去した画像例、右は開発した深層学習方法でノイズ除去した画像例 (クリックで拡大) 出典:東芝
さらに、ノイズ量に比例してしきい値を切り替えたり、ノイズ量に応じてノイズ除去の適用範囲を変更したりできるようにした。こうした機能を実現したことで、学習範囲を超えたノイズ量についても対応することが可能となった。
同社は、ノイズ除去の能力について、開発した技術と従来技術との比較も行った。カリフォルニア大学バークレー校が配布し、深層学習型ノイズ除去の画質評価用として一般的に用いられる256階調の原画像に、標準偏差22.5〜27.5のノイズを付加した400枚の画像を学習。これとは別に、68枚の原画像に標準偏差40のノイズを付加した画像を用意し、ノイズ除去の処理を行った。
この結果、原画と処理画像の復元誤差(平均二乗誤差の68枚の平均)は従来方式の「468」に対し、開発した技術は「137」と3分の1以下に改善するなど、十分な画質が得られることを確認した
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